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第115話 これからの話
しばらくして、紫さんが、俺達の結婚式はどうするのかと聞いてきた。
「ちゃんと考えてる。俺は凛が高校を卒業したら挙げたいと思ってるんだが、凛はどう思う?」
「えっ…。俺は…男同士だし、そんなのはしないんだと思ってた…。ちゃんと考えてくれてたんだ…嬉しい…」
「俺が勝手に考えてただけだ…。してもいいか?」
「うん…したい、です。銀ちゃん、ありがと」
銀ちゃんが、微笑んで俺の左手を持ち上げ、薬指の指輪にキスを落とす。
「じゃあ凛ちゃん、私が着た白打ち掛けを貸してあげるからぜひ着てね」
紫さんが嬉々として言ってくるけど、打ち掛けって…。
「あの…俺、男だし着れませんよ?」
「何言ってるのよ。凛ちゃんは可愛いから大丈夫よ?絶対に似合うわっ」
「……」
俺は困って銀ちゃんを見上げるけど、なぜか銀ちゃんも嬉しそうにしていた。
「銀ちゃん?俺、着ないよ?」
「ふっ、凛の花嫁姿はきっとすごく綺麗だろう。楽しみだ」
「……」
銀ちゃんは、顔は縹さんに似てるけど、性格は紫さんにそっくりだと俺は確信する。ここで反論しても聞いてもらえなさそうなので、黙ってる事にした。
すると、今度は縹さんが口を開く。
「銀、人間界に置いてる戸籍に、凛くんに入ってもらうんだろ?それはいつ頃にするんだ?」
「凛が20歳になって成人したら…と思ってる。これも俺が勝手に考えていたんだが、凛はどうしたい?」
銀ちゃんに聞かれて答えようとした時、にこにことして話を聞いていた浅葱が、嬉しそうに加わってきた。
「えへへ…俺、今からすごく楽しみだよ!凛、籍を入れたらもうここに住んじゃったら?」
「う〜ん…。遊びにはちょくちょく来たいけど。俺、高校出たら大学行って、しっかり勉強したいし。銀ちゃんに守ってもらうばっかりじゃ駄目だから…。俺も、銀ちゃんの役に立ったり、力になれるようになりたいんだ」
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