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第116話 これからの話
肘を立てて指を組んだ縹さんが、こちらを見て頷いた。
「しっかりした考えだね。大学に行くのなら、籍を入れるのは大学を出てからの方がいいんじゃないか?もう契約は成立してるのだから、少しくらい伸びてもいいだろう」
「俺は今すぐにでも、一ノ瀬 凛になって欲しい。だが、凛のしたい事を優先してあげたい。だから待つよ。でも、大学を出たらすぐに籍を入れるぞ、約束だ」
銀ちゃんが、少し残念そうな顔をして、俺の手を大きな手で包む。
いつも俺の事を一番に考えてくれる銀ちゃんが本当に愛しくて、俺は抱き付きたくなった。だけど、さすがにここでは恥ずかしいのでぐっと我慢して、代わりにしっかりと頷いた。
「近いうちに凛ちゃんのご両親にも挨拶しないとねぇ」
「そうだね。今は外国におられるんだろう?次に帰って来られた時に、会いに行かせてもらおうかな?」
「はい、よろしくお願いします」
俺は椅子から立ち上がり、2人に頭を下げた。
「男の子だけど、可愛い上にしっかりした良い子じゃないですか。銀様はいい方を選ばれましたね」
「確かに」
他の方達にも良い印象をもたれたようで、俺は照れながら軽く頭を下げて、もう一度腰掛けた。
新年早々からとても穏やかで幸せな時間を過ごせている事が嬉しい。昨日、大吉を引いたおかげかなぁ…と、しみじみ思って顔をほころばせていた。
そこへ、不吉な足音が近づいて、俺の幸せが壊される。
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