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第119話 乱入者

鉄さんが俺の肩を強く掴み、銀ちゃんから引き剥がして皆んなの方に向かせる。 「僕はね、なぜ凛くんは術が使えたのか気になって調べたんだ。そうしたら、彼の祖母の実家が賀茂の血筋だった。となれば当然、その血が流れてる凛くんが、術が使えたのも納得出来る。ね?僕は間違った事はしてなかったでしょ?むしろ褒めてもらいたいね。陰陽師だった賀茂家の血筋の者は、僕等の敵なのだから」 「陰陽師…」 昨日、その言葉を聞いたばかりだ。 倉橋は、陰陽師の家系だと言った。ばあちゃんの生まれた賀茂の家もそうだったの?でも、そんな話は一度も聞いた事ない。 それに、その家系だからと言って、全員に力があるわけじゃないと倉橋は言ってた。ばあちゃんは?俺にはそんな力があるわけない…。 いきなり、訳のわからない事実を突きつけられた。 それに、ついさっきまで好意的だった皆んなの俺を見る目が、少しずつ嫌悪を滲ませ始めてる事に気付いて、俺は怖くなり小さく震え出す。 そんな中でも銀ちゃんは、俺の肩から鉄さんの手を退かして、もう一度、強く抱きしめてくれた。 「だから何だと言うんだ。例えそうだとしても、俺が凛を愛する気持ちが変わる事はない」 銀ちゃんの力強い言葉に、俺の目からまた涙が零れ落ちる。 「そんな事言って、いずれ凛くんに何かされたらどうすんの?」 「凛はそんな事はしない。信州の時も、おまえに殺されかけて必死だっただけだろう。本当に効いたのか?」 「あ〜あ、とことん凛くんに骨抜きにされちゃってるね。おじさん、このまま凛くんをしろの花嫁として迎えていいのですか?」 「いいに決まってる。おまえには関係ない」 「しろの意見は聞いてない。天狗界のトップであるおじさんに聞いてるんだ」 2人のやり取りを見ていた周りの何人かが、鉄さんに賛同し始める。 「賀茂家の者とは虫唾が走る。到底受け入れられるものではない」 「そうですよ、縹様。銀様が望まれた事とはいえ、賀茂家の血を引く者と縁を結ぶなど、我等の仲間に対する裏切りです。認めてはなりません」 「ちっ…」 声が上がった方をじろりと睨んで、銀ちゃんが小さく舌打ちをした。

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