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第135話 壊れる心

俺は両手で拳を作り、コタツ机に思いっきり打ち付けた。 「う、嘘だっっ!そんなの嘘だっ‼︎だって、俺達は約束したんだっ。一生、傍にいるって、愛してるってっ!契約の印だってあるっ。銀ちゃんは、そんなの断るに決まってるっ!」 「凛ちゃんっ!」 何度も何度も、俺は拳を打ち付ける。清忠と宗忠さんが止めた時には、拳は赤く腫れ、すり切れた箇所から血が滲み出ていた。 俺は、はあはあと肩で大きく息をする。頭に血が上ったからか、睡眠の少ない疲労の溜まった身体で大きな声を出したからか、頭がくらりとして目の前が白く濁り、ふっと意識を失った。 ひそやかな話し声が聞こえて、俺はゆっくりと目を開けた。遠くで、玄関扉の閉まる音がする。居間の入り口に目をやると、手に何かを持って、清忠が入って来るのが見えた。 俺が目を覚ましたのに気付いて、清忠が慌てて近寄って来る。 「凛ちゃんっ、大丈夫?急に倒れたから心配したよっ」 「ん…だ、いじょぶ…。宗忠さんは…?」 「自分がいるのは嫌だろうから、って帰ったよ。一度帰って薬を持って来てもらったから、ご飯食べたら飲も?俺が何か作るから凛ちゃんは寝てて」 「あ…冷蔵庫…何も、入ってない…」 「うん、調べた。だから、食材も買って来てもらった。ごめん、勝手な事して」 「…ううん、ありがと…」 「とりあえず、休んでるんだよっ」 そう言って、俺の肩までコタツ布団をかけると、先ほど手に持っていた大きな袋を持って、台所に入って行った。 1人になると、さっきの話を思い出しそうになって頭がぐらぐらとする。俺は、両手で耳を塞ぎ身体を丸めて固く目を閉じた。 ーーああ…頭と心の中が、ぐるぐるとかき混ぜられて気持ち悪い。さっきの話が頭の中でリピートされる。駄目だ、あんな話はデタラメだ。銀ちゃんは待ってろと言ったんだ。俺を愛してると言ったんだ。これ以上ないくらい愛してるのに、まだ好きになると言ってくれたんだ…。 ーー銀ちゃん…俺は銀ちゃんから直接聞くまで信じない…。銀ちゃんを待ってる…。でも、俺の心がぎしぎしと痛い。ねぇ銀ちゃん…俺、頑張るけど、いつまで待てばいいの?銀ちゃんに甘やかされて、弱くなってしまった俺の心は、そんなに保たないよ…。 俺は、コタツから出てふらふらと銀ちゃんの部屋へ行く。押し入れから銀ちゃんの毛布を引っ張り出すと、身体を包み壁にもたれて目を閉じた。 ーーねぇ銀ちゃん、銀ちゃんの匂いが消えてしまうよ。早く、俺に、匂いをつけに戻って来て。

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