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第140話 壊れる身体

銀ちゃんがいなくなってどれくらいの日が過ぎたのだろう。 ぼんやりと学校に行って帰って来るだけの毎日を過ごしてる俺には、日にちの感覚がわからなくなっていた。 最近では、自分で自身を慰める虚しさに耐えきれなくなって、自慰をやめている。その為、疼く身体に堪える辛い夜を繰り返さなければならなくなった。 この日も眠れない夜を過ごし、朝方少しだけ微睡んで寒さに震えて起き出した。 カーテンを開けて外を見ると、辺り一面真っ白になっている。 ーー雪…。冷えると思ったら夜のうちに積もったんだ。世界が白に包まれてきれい…。 少し窓を開けて冷たい空気を吸い込む。すべての音が雪に覆われて、とても静かだ。 まだ、しんしんと降り続く雪をぼーっと眺めていると、俺の耳に『バサッ』と微かに羽音が聞こえた気がした。 「銀ちゃんっ⁉︎」 俺は大きな声を上げて立ち上がり、慌てて部屋を出る。裸足のまま靴を履き、玄関扉を開けて雪の中へ飛び出した。 辺りを見ても銀ちゃんの姿はなく屋根を見上げる。屋根の上にも姿は見えなくて、苦痛に顔を歪めて振り返ると、神社がある方角の空に、小さな影が見えた。 「銀ちゃんっっ!」 その影を追いかけて、俺は静かな雪の世界の中へ駆け出した。

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