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第208話 水の檻 ※
俺は震える身体を抱きしめて、その場にうずくまった。
ーー清…、清はどうなったの?あの時、動かなくなってたけど、血がいっぱい出てたけど、きっと倉橋と銀ちゃんで、白様の所へ連れて行ってくれたよね?大丈夫だよね…?
俺は、大丈夫だと何度も自分に言い聞かせる。自分の腕をさすり深い呼吸を繰り返して、少し気持ちが落ち着いてきた頃に、服の違和感に気付いた。
俺は、着ていた制服ではなく、藍色に紫の紫陽花が描かれた浴衣を一枚、羽織っているだけだった。
下を見ると、下着も靴下も履いていない。
俺は慌てて立ち上がり、肌蹴ていた浴衣を掴んで前を合わせた。
「えっ?制服は?なんでこんな恰好してんのっ?」
俺の戸惑う声に、いつの間に入って来たのか、濡れる事なくドアから現れた久世先生が答えた。
「ああ、起きたんだね…。その浴衣、女物だけど凛によく似合ってるよ。君に似合うと思って何枚か用意したんだ。凛はさ、一緒に住んでたという天狗に身体を汚されてるだろう?どれくらい汚されてるのか調べようと思って、邪魔な服は脱がせたよ。しかし俺はショックだよ。何、その胸の印。それって妖の契約印じゃん。ダメじゃん、勝手に俺以外とそんな契約しちゃ。しかもそれ、消せないやつだよね?」
先生が俺の前に来て、浴衣の襟を掴んでバサリと下に落とす。
「あっ、やっ!」
「ダメ、見せて」
慌てて恥ずかしい部分を隠そうとする俺の手を、久世先生が強く掴んだ。何もまとわない全裸の俺に、先生は上から下までじっくりと視線を這わせる。
「ああ…ほんと、綺麗だね。白くて滑らかで、ピンク色のここも可愛い。でも、その横の印が醜い。はあ〜…、本当ならさ、凛が子供の頃に、俺が見つけるはずだったんだ。でも、どんなに捜してもちっとも見つけれなくて、微かに匂いを感じるけど気のせいなのかな、って諦めてた。でも一月前、凛と駅で会ってすぐにわかった。この匂いは、この子は俺の物だ、って。でも、凛は男だった。俺は見つけたら嫁にしようと思っていたから、男ならいらないか…と思ったけど、せっかく見つけたんだしちょっと様子を見る事にしたんだ。そしたらさ、凛は優しいし可愛いし俺の理想そのものだったんだよ。それに、観察してるうちに、一緒に住んでる妖がいるのがわかった。しかも、夜に様子を見に行ったら、セックスしてる声が中でしてるじゃないかっ。俺はだんだんと腹が立った。凛は俺の物なのに、あいつに取られた。俺の物だから取り返さないといけない。取り返して、凛にも俺の物だとわからせないといけない。そう決めて、やっと取り返せた」
先生が、俺の背中に手を回して抱き寄せる。
「もう今は、凛が男だとしても関係ない。とても愛しいよ。でも、凛の身体はあの天狗に汚されてる。綺麗に浄化しないといけない。それは、わかるよね?だから…少し辛いかもしれないけど耐えるんだよ?」
俺の耳の側で紡がれるその言葉に、何をされるのかと恐怖を感じて、全身を震わせた。
「あ…や…っ、何、するの…?」
「震えてる?ふふ、可愛い…。綺麗にする為なんだから、我慢しようね?」
先生が俺の肩を押して身体を離す。屋上で見た時のように、先生の背後から大量の水が蛇のようにうねりながら浮き上がる。その水は縄となって、俺の両手両足を磷付のように拘束し、身体を宙に浮かせた。
両足が外側に開かされ、細い水流が俺の後孔に触れる。
「やっ、うそ…やめ…っ」
水流の先がぷつりと孔の中に入ってくる。ゆっくりと内壁を押し広げながら進み、銀ちゃんでも届かない奥深くまで突き刺さった。
「ああっ、あっ…、やぁ…!抜いて…っ」
「ずいぶんと精を塗り込まれてるね…。ふぅ…、これは浄化に時間がかかるな。まあ、俺の為に頑張ってよ。その間にちょっと用事を済ませてくるから」
うねうねとお腹の中を動き回る水流を感じながら、俺は苦しいのか快感なのかわからない苦痛に、ぽろぽろと涙を流して顔を歪めた。
「やぁ…、待って…、気持ち悪いっ、ひっ…っ」
「早く綺麗になってね」
先生は、俺の頰をべろりと舐めて、ドアをバタンと閉めて出て行った。
「はぁ…はぁ…、あっ、んぅ…、ふぁっ」
水流が蠢くたびに、お腹がぼこぼこと膨れる。時たま、中の感じる場所を強く押されて、腰がびくりと揺れてしまう。
そんなつもりは全くないのに、ちっとも気持ちよくなんてないのに、俺の先端からは、たらたらと透明の蜜が溢れ出していた。
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