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第231話 お泊まり会

お風呂に今日は一緒に入るか入らないかで銀ちゃんと言い争っていると、障子が開いて、倉橋と白様が入ってきた。 白様が、静かに部屋を進んで床の間の前に座る。俺は、清忠の腕を掴んで白様の前に行くと、正座をして、2人で頭を下げた。 「俺の事で、白様にご迷惑をかけて申し訳ありませんでした…」 「俺も、死にかけたところを助けて頂いて、まことにありがとうございましたっ」 下げた頭の上から、白様のくすりと笑う声がする。白様は、持っていた扇子で俺達の頭をポンと軽く叩くと、「顔を上げろ」と言った。 「椹木は、何も謝る必要はない。この度は災難だったな。おまえを悩ます龍に会うたら、私が髭を抜いてやろうと思っていたのだがな…。そこの天狗が早々に抜いてしもうたらしいな」 顔を上げて白様を見ると、美しい金色の瞳が俺を労わるように見ていた。 「それから清忠、おまえはもっと私を崇め奉れ。私はおまえに命を吹き込んでやったのだからな。これからは、私の手足となって働いてもらおうか」 「ひぅっ、わ、わかりました…。お、俺はどうしたら…」 「白っ!真葛を苛めたらあかん。真葛は俺の友達なんやから、白の下僕にはさせへんで。真葛も嫌やったらはっきり断り。素直に言う事聞いてたら、とことんこき使われるで」 「はっ、はい…っ」 倉橋にビシリと言われて、清忠が背筋を伸ばす。一方の白様は、苦々し気に倉橋を見た。 「蒼…、おまえは煩いの…。まあいい。清忠、いざという時に、私の為に働いてくれればそれで良い。おまえ達は、これからばーべきゅうというものをするのだろ?銀色の天狗は、私の酒の相手をしろ。今回の事の顛末を聞きたいしの」 白様にそう言われて、俺の隣で胡座をかいていた銀ちゃんが、心底嫌そうな顔をした。 俺は銀ちゃんの手をぎゅっと握って労わると、倉橋を振り返る。 「あ、ねぇ倉橋、ご両親に手土産を渡したいんだけど。お世話になる挨拶もしたいし」 「ほんまに律儀。そんな気い使わんでええのに。後でお茶持ってくると思うし、その時でええで。それに、バーベキューは俺らだけでするし、気楽にしててや」 「うん。すっごく楽しみっ」 俺のわくわくとした気持ちが移ったのか、やっと銀ちゃんと清忠も笑顔を見せた。

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