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第235話 お泊まり会
「友達がいる前で、銀ちゃんとくっ付いて寝るなんて恥ずかしい」
そう言って銀ちゃんと揉めた結果、俺は銀ちゃんの勢いに負けて、いつものように一つの布団で銀ちゃんに抱きしめられて寝る事になってしまった。
俺と銀ちゃんの隣に浅葱が、その隣の浅葱と清忠の間に倉橋が寝転ぶ。清忠はすでに寝息を立てて、深く眠っていた。
「凛、銀様に流されないようにね。何かされたら、声は小さくしてね。じゃあ銀様、蒼くん、おやすみなさい」
「俺は一度寝たら起きへんから気にせんでえーよ。ほなおやすみなさい」
「だ、大丈夫だからっ。おやすみ…っ」
即座に否定の声を上げる俺を、銀ちゃんが胸に抱き寄せる。
「ほら、興奮してると眠れなくなるぞ?おまえは寝相がひどいからな。俺がしっかりと抱いててやる」
「え…そ…だ…」
恥ずかしくて口をパクパクさせてるうちに、背中に腕を回されてしっかりと抱き込まれてしまう。俺は小さな抵抗をしていたけど、すぐに疲れるだけだと諦めて、力を抜いて銀ちゃんの胸に頭を付けた。
「おまえは目を離すと、どこかへ行ってしまいそうで不安になる。もう、二度と離れるな…」
俺の耳の傍で囁かれる切ない声に、胸が強く締めつけられた。
ーーそうだ。俺はさんざん銀ちゃんに心配かけたんだ。銀ちゃんは大人で、いつも余裕たっぷりに俺を包み込んでくれるけど、俺が先生に連れ去られたと知った時は、どんなに焦ったのだろう…。油断していた俺を責めないで、きっと、自分をすごく責めたに違いない。だから、銀ちゃんが一緒に寝たいというなら寝よう。そんな風に言ってくれるのは、俺にとっても嬉しい事なんだから…。
そう思ったら、銀ちゃんへの愛しい気持ちが溢れてきて、俺が我慢出来なくなった。顔を上げて、俺から軽く口付ける。そして、ふわりと笑ってまた銀ちゃんの胸に顔を寄せた。
俺を抱きしめる腕に力を込めて、銀ちゃんが俺の耳元で、「愛してる」と囁いた。
銀ちゃんの体温と匂いに包まれてるうちに、瞼がとろりと落ちて眠りに入る。ぼんやりと今日のことを思い返して、自然と笑みが零れてしまう。
ーー今日は楽しかったなぁ。あ…バーベキューの時に倉橋から教えてもらったアレ…、上手くいくといいなぁ…。
うつらうつらとしながら、そんな事を考える。
銀ちゃんに耳をふわりとくすぐられて、ほとんど意識がないままに、俺は「ふふ…」と小さく笑いを漏らした。
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