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アウリール。彼はここらを支配する魔法使いであった。広い土地を牛耳っており、そこに住まう馬も鳥も花も、動物植物すべてが彼のものであった。彼の持つ強い力に、皆、恐れをなしていた。
そんな彼が少年を手に入れたのはいつだったか。妊娠した妻のためにアウリールの畑からラプンツェル(ノヂシャ)を盗んだ男に、罰として生まれた赤ん坊を捧げるように命じたのが始まりだった、とアウリールは記憶する。泣く泣く赤ん坊を献上してきた夫婦の顔など、もう覚えていない。アウリールの世界は、その赤ん坊がすべてとなっていた。
アウリールは赤ん坊に「ラプンツェル」と名づけて、この塔に閉じ込めた。美しく、それは美しく成長した少年を、他の者の目には晒したくなかった。
「そこ、ぁあ……いい、きもちいい……」
アウリールは、毎日のように少年と秘めやかな時を過ごしていた。外の世界を知らない少年にとって、アウリールが全てだ。少年はアウリールの思うままの淫らな身体に成長し、アウリールから与えられるものすべて、そう、快楽も淫行もなにもかもを悦んで受け入れた。アウリールだけの人形となっていた。
「ラプンツェル……そこに這いつくばって、脚を開いて……」
「はい……アウリール様……」
「そうだ……そして、お尻の穴を広げて僕に見せてごらん」
「あぁあ……こうですか……アウリール様ぁ……」
「恥じらい」。そんな概念が少年にあるのかは定かではない。教えられていないのだから。美しく上品なドレスが台なしになるような、そんな行為を少年は躊躇なくやってみせる。薄汚い石畳に臀部を突き上げた格好で這いつくばって、ふわふわとしたスカートをたくし上げる。そして顕になった白い臀部に細かい刺繍の入ったサテングローブをつけた指を這わせると、そっと後孔に添えて、広げて見せた。冷たい空気が中の粘膜をそっと撫ぜると、穴はひくひくと切なげに動く。アウリールはにんまりと笑うと、そこに顔を近づけ舐めるように見つめた。視線を感じてか少年の体温は上昇していき、瞳がとろりと蕩けたように熱を帯びる。
「ラプンツェル、君、知ってる?」
「何を、でしょう……」
「毎日ここに僕のちんぽ挿れているからね、君のお尻の穴、僕のちんぽの形になっているんだよ」
「え、……あっ、ふぁあ……ッ、舐め……」
にゅる、と生ぬるい感触が入り込んでくる。じゅわ、と熱く、溶け出す、そんな感覚が広がって、それはやがて甘い痺れへ変わってゆく。かくかくと揺れる腰をアウリールはがっちりと掴んで、舌を穴にねじ込んだ。少年ははくはくと唇を動かしながら、溜息のような熱い吐息を吐き出す。崩れ落ちてゆく意識を、ひっかくように石畳に指を這わせてなんとか繋ぎ止めていた。
「はぁああ……、あぁ、いやぁ……」
「ふふ、僕はね、ラプンツェルのことぜーんぶ知っているんだよ。ラプンツェルがどこをスキなのかも、ラプンツェルがエッチなこと大好きなのも。だって毎日、ここの穴に僕のちんぽを挿れているんだからね」
ジャラ、と冷たい金属音が響く。それは少年に付けられた首輪を繋ぐ鎖の音。逃げる術など少年は知らないというのに、アウリールはこうして少年を鎖で繋いでいる。美しい少年を犬のように飼うことに快感を覚えているのかもしれない。事実、こうして鎖に繋がれて地べたに這いつくばる、まさしく犬のような少年を見て、アウリールは興奮の絶頂にあるのだ。
咽返 るような薔薇の香り。閉塞的な石の部屋。すべてから閉ざされたこの空間の中で、愛し合う。異常か。いいや、まったくもって正常。二人を否定する者などどこにもいない、少年の存在を知る者も、どこにもいない。ただ二人がその空間を愛しいと思ったのならば、それを異常といわれる所以はない。その愛に疑問を覚える者はいなく、当の二人もそれを永遠だと信じていた。
しかし、すべての事象に永遠など存在しないものだ。変わらないはずのその部屋に、わずかカビの臭いが篭もるその部屋に。なんの前触れ無く、新しい風が吹き込んできたのだ。
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