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 ふと耳に飛び込んできた声に椛は肝を冷やした。乱れたドレスをかき集め、穢れた秘部を隠す。 な、なんで……」 「呼びかけても返事がなかったからね。勝手に入らせてもらったよ」 「……そんなこと、できたんですか……」 「僕を誰だと思っているんだい? ラプンツェルの美しい薔薇の魔法がみたくて今までは君にここまで連れてきてもらってただけ。……ねえ、それよりラプンツェル」  かつ、とアウリールは冷たい足音をたてて椛に近付く。その氷のような眼差しにいつもは身体は嗜虐心に震えるのに、今は怖くて仕方がない。椛はぎゅっとドレスを握り締め、息を詰め上目遣いにアウリールを見上げる。 「一人エッチしちゃうくらい身体が疼いているの? 可愛いね……今日は飛びっきりひどくしてあげるね」 「――ッ」  アウリールが取り出した鞭に、椛の肌が粟立った。思わず後ずさった椛を見てアウリールは不思議そうに眉をひそめる。椛を繋ぐ首輪の鎖を引っ張り、乱暴に足音を立てながら近づいていくと、思い切り鞭で体を叩いた。 「――ひゃぁッ……!!」 「どうした、ラプンツェル……コレで叩かれながらお尻の穴を虐められるの大好きだったろう?」 「ふ、……っ」  アウリールは椛の手足についた鎖を巻き上げて、椛を天井に吊るしあげた。乱れたドレスから覗く大きく開かれた脚の間には、自らの指で慰めたことによってヒクヒクと疼いている穴がある。はだけた胸元には可愛がったために少しだけ赤くなった乳首が存在を主張している。びくびくとアウリールから目を逸し、恐怖に青ざめる椛は、それでも淫靡なその体から色香を醸し出していた。  怖いと、心が言っている。優しい愛撫を知ってしまった今の椛には、アウリールとのいつもの暴力的な性行為が怖くて仕方なかった。しかし、身体は違う。その快楽を刷り込まれている。バイブレーターを挿れられイかされながら鞭で叩かれて、鞭で叩かれることは気持ちいいことなのだと、そう無理やり教えられてしまった。鞭で叩かれるたびに、イク感覚が蘇るのだ。  そう、だから。アウリールに疼く穴を見せつけ、これから鞭で嬲られるのだというこの状況に。椛の身体は悦んでいた。涙を流しながらも、椛の性器は勃ち上がり始めていた。  アウリールが鞭の持ち手の部分で椛の体を愛撫し始める。固く無機質なソレは、首筋を、鎖骨を、胸を、腹を、太ももを……そして濡れた穴に。ぐりぐりと先の方を穴をほじくるように押し込めば、椛は唇を噛んで身悶えた。アウリールは腰に手を当てニヤニヤと嘲笑いながらそんな椛のことを視姦する。 「あっ、うっ、ひゃぅん……」 「ぐりぐり、気持ちいい?」 「……、や、……や、です……あッ、くぅん……!」  グッと思い切り突く。そうすれば椛はのけぞり、ガシャガシャと鎖を鳴らした。アウリールは満足気に目を細め、鞭を持ち直す。くたりと諦めに似た表情を浮かべながら椛はアウリールの様子を伺った。アウリールはバイブレーターを取り出すと、それを椛の目の前にもってくる。 「もっと気持ちよくなるよ、ラプンツェル」 「やだ、や……あ、あぁああぁあぁ!!」  ズブッ、と遠慮無くアウリールは一気にバイブレーターを挿れた。奥を一気に貫かれ、思わず椛はみっともない声を上げてしまう。アウリールが作業のように適当に抜き差しを始めれば、それに合わせて椛の体に快楽が襲い来る。奥を突かれ、イイところを擦り上げられ、そんな刺激を何度も何度も断続的に、波のように押して引いての甘美な刺激が。 「あ……あ……」  椛のたちあがったものから、たらたらと先走りが零れる。虚空をみつめ、虚ろな瞳をしながら絞り上げるような声をあげる椛をみて、アウリールは冷たく嗤う。 「ラプンツェル? まだイクのは早いよね? ほら、ここからだよ」  アウリールは椛のもとを離れ部屋の隅にある道具から一つ、三角木馬をもってきた。そして、ぶら下がる椛のすぐ下に置くと、椛の脚を吊り上げる鎖を緩めてゆく。鎖の擦れる音と同時に、身体は徐々に下がっていき、椛は三角木馬に跨る形となってしまった。つま先立ちをすればギリギリ頂点が脚の間に触れないかという絶妙な位置に固定され、椛は必死に体勢を保つ。 「んん~? せっかく下げてあげたのにそうやって立っているの? そうだね、足をついちゃったらそのバイブレーターが奥をぐりぐりしちゃうもんね? 僕がイクなって言ったから耐えているんでしょ? 可愛いね、ラプンツェル」 「……う、」 「じゃあね、イッたらお仕置きだからね。もしイッたら僕の精液をいっぱいぶちこんじゃうからね。ラプンツェルが嫌って言ってもお尻から溢れるくらいたくさんいれちゃうからね。それともラプンツェルにはそれもご褒美かな?」  アウリールが鞭を軽くふる。一本鞭に比べてアウリールの持っているバラ鞭は痛みが大きく軽減されるため、軽く叩くくらいではあまり痛くない。ペチン、ペチン、と椛の身体の隅々を鞭で嬲ってゆけば、椛の抑えきれない被虐心が沸々と沸き上がってくる。 「あっ……あっ……」  叩かれるたびに、椛の細腰がゆらゆらと揺れた。腕を縛り上げる鎖がギチギチと嫌な音をたてている。身体をくねらせ、どうにか快楽から逃げようとするもそれは全く意味を為していない。肉と鞭のぶつかる音が部屋に響いている。 「や、あ、あっ、」 「気持ちいい? ラプンツェル。気持ちいいね? もーっとよくしてあげる」 「あぁッ!」  パァン、と弾けるような音が鳴る。先ほどよりも強く叩けば、椛は甲高い声をあげだした。激しく、乱暴に、アウリールは椛の身体を嬲ってゆく。鞭が肌を打つたびに椛の身体はビクンビクンと跳ね、危うげに腰がゆらゆらと揺れた。ガクガクと震えるつま先は、そろそろ限界だと、そう言っている。はちきれんばかりに膨らんだ椛のものが、身体を叩かれるたびに揺れて、ぱたぱたと白濁液の雫を散らしていた。

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