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「んっ、あっ、ぁあッ、ん、」
「ナギ……可愛い……可愛いよ」
「いわ、ないで……あっ、やぁっ」
「なんで……もっと、言わせてよ……ナギ、可愛い、好き……大好き」
「あぁッ……! だめ、だめぇ……!」
好き、というたびに。椛の声は艶を増してゆく。もう、愛おしくて愛おしくて、仕方がない。
「く、ぅ……ん……っ!」
しつこくソコを責め続けると、椛はぎゅうっとラインヴァルトを抱きしめながら達してしまった。ビクッと大きく身体が跳ねさせ、くたりと力を抜いて堅くなったものの先からとくとくと精液を吐き出した。ラインヴァルトはそんな椛の髪の毛を梳きながら目を合わせるように促すと、椛は素直に従った。とろんとした瞳でラインヴァルトをみつめ、そして流れるように唇を重ねる。
「ライン……」
「ナギ……ね、俺……もうツライ」
「……いれて、ライン……」
「……いい? 俺、抑えられるかわからない。優しくしたいのに……」
「おさえなくて、いい、よ……ラインのぜんぶ、ほしい……すきにして、いっぱい愛して……!」
ぽろ、と涙を一筋こぼして椛が笑う。そのあまりの愛おしさに狂ってしまいそうになった。ラインヴァルトは溢れる想いを抑えつけながらもう一度そっとキスをして、椛に膝だちをさせる。ほぐしたところに十分すぎるほどに堅くなったそれの先端をあてると、椛の顔が期待に赤らんだ。
「あ、つい……」
「いい? いれるよ……」
「うん……」
もう柔らかくなって滑りもいいはずのそこは、やはり初めて繋がるというときには臆病で、ちょっとだけ、いれるときにきつく感じた。見つめ合いながらゆっくりと深くまで進んでいくと、椛の唇から吐息が漏れる。
「あ、あ、あ……」
「ナギ……痛くない?」
「大丈夫……おっ、きぃ……ラインの、なか、いっぱい……」
「……、ばか、あんまりそういうこと言うな……がっつきそうになる」
ぎゅっと自分の腕を握り締める椛を、ラインヴァルトは心配そうにみつめた。ぷるぷると震えながら、腰をおろしてゆく。辛そうな深い呼吸をしながらも、頬を紅潮させ、嬉しそうに目をきらきらとさせていた。
「あっ……」
ぜんぶ、はいった。ぎゅ、ぎゅ、と不規則に締め付けてくる椛の中の感触すらも愛おしく思える。椛は満足したように微笑んで、ラインヴァルトは「よくがんばった」とでもいうように頭を撫で、そして抱きしめあった。
「ひとつに、なれた……」
「ナギ……俺、幸せ」
「ぼくも……ライン……すき……」
「……うん……ナギ……もう、好きすぎて、苦しいよ」
また、キスをする。下が繋がったなかでのキスは、怖いくらいに気持ちよかった。幸福感に胸が満たされて、ただ、ゆっくりと舌を交わらせお互いの熱を感じ合うだけの、ゆったりとした深いキスだった。
「ふっ、……ぁ……」
舌をまぐわせながら、抱き合いながら。ラインヴァルトはゆっくりと身体を揺すった。激しい抜き差しはなく、ただ身体全体をゆすられるだけだというのに、じく、と甘い痺れが下から這い上がってきて、椛は鼻からぬけるような声をあげる。硬くなったものがラインヴァルトの腹に擦れて、じんじんと熱くて、椛のそこからはたらたらととめどなく白濁液が流れでた。
「あっ、ん、んん、ふ、」
「ナギ……好き」
「あっ……!」
ラインヴァルトがたまらず唇を離して、そう呟けば、椛のなかはぎゅうっとラインヴァルトのものを締め付け、口からは一層甲高い声が漏れてしまう。そんな椛の様子がほんとうに可愛くて可愛くて、ラインヴァルトはソレを言い続けた。
「ナギ……好き、好き……愛している、好き」
「ひゃ、あっ……ら、いん……まって、……あぁあっ……」
「聞いてよ、もっと聞いて……俺、ほんとうにナギのこと好きだから……ナギ……」
「ふぁ、あ、あ、ッ、んん、あぁッ……」
白い喉を晒し、椛は身体の内に滞留する快楽を逃がすように嬌声をあげた。目の前のそのすべやかな喉に目眩を覚えてラインヴァルトはそこに唇を這わせる。ちろ、と舐めれば砂糖菓子のような甘みが舌先に広がってゆく。
「あっ、はぁッ、んぁ、ひゃん……」
「可愛い……ナギ、もっと、声ききたい……可愛いよ」
「や、ぁ……! はずか、し……ぁん……!」
「……じゃあ俺が出させてあげる」
「ーーあぁあッ!?」
ラインヴァルトの瞳が僅かに情欲に塗れた。椛をしっかりと抱きしめると、勢いよく腰を突き上げる。突然の強烈な快楽に、椛は破裂音のようなあられもない声を発してしまった。
「あっ! あっ! あっ! あっ!」
「すごい……ナギ、すごい……」
「だ、めぇっ……! まってぇ……! らい、ん、おね、がい……!」
「だめ……ごめんね、ナギ……俺もう我慢できないよ」
「や、ぁあっ……いっちゃう……やだ、らいん……いっちゃう、からぁ……!」
細い身体が頼りなくがくがくと揺さぶられた。揺れるたびにびくんびくんと跳ねる身体は、あまりにも淫靡で、あまりにも従順。快楽に脳を支配されてわけがらなくなって、それでも椛は必死にラインヴァルトにしがみつく。涙でぐしゃぐしゃに顔を濡らして、唇から唾液を伝わせて、みっともなく、喘ぎ続けた。
「いっしょに……いっしょに、いきたい、の……! だか、ら……らい、ん……とめて、いっちゃう……!」
「……ナギ……なんでそんなに可愛いの……でも、大丈夫だよ、俺がイくまで……何回でもイカせてあげる」
「あっ……そん、なぁ……! いじわる……らいん……いじわる……ひゃあんッ……!」
まもなく、椛はひゅっと息を飲んで身体を強ばらせて、達してしまった。ぴっと背を伸ばし胸を反らし、ガクガクと身体を震わせた。そんな椛のようすがたまらなく扇情的でいよいよラインヴァルトの理性のタガが外れた。脳内にモヤがかかったように思考が壊れてゆく。椛の腰を鷲掴みすると、勢い良く腰を突き上げた。
「――あっ、ぅあッ、あ、あぁッ、」
肉のぶつかる音が響く。壊れた人形のようにただただ揺さぶられるばかりの椛の口から、声が次々とこぼれてゆく。虚ろな瞳からは涙が流れて、それでも恍惚とした表情で、口元に笑みを浮かべて。抜き差しのたびに中が強くラインヴァルトのものを締め付けて、でていかないでと言っている風で、それがまた堪らない。
「あっ、あっ、――ん、ッ、……あぁああッ!」
「……っ、また、イッたね、ナギ……かわいい……」
「らいん、ゆるっ、して……あんっ、あぁっ、あ!」
「だって、ナギだって気持ちよさそうじゃん……ねえ、ナギ……だめ? もっと、もっと、俺でイッてみせてよ」
「――っ、う、ぁあ、おかしく、なっちゃう、らい、ん……きもちよすぎて、へんになっちゃう、よぉ……!」
「……なればいいよ……俺はもう、お前に狂っているよ」
「はぁあぅっ……!」
イク感覚が短くなってきている。数回突いただけで椛は再びイッてしまった。トロトロに蕩けた椛のアナルがきゅうきゅうと収縮を繰り返している。くったりと身体の力が抜けた椛は、完全にラインヴァルトに身を預けて、揺さぶれるがまま、イかされるがまま、快楽に酔ってよがってそうしていることしかできなかった。
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