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*** 「ヴィク、トール……」  ベッドに横たわるヘンゼルが、潤んだ瞳でヴィクトールを見上げる。その身体は胸を強調するように縄で縛り上げられており、自由を奪われていた。 「ヘンゼルくん……僕、あんまり酷いことはできないかも……」 「……ヴィクトール……お願い、だから……ひどいこと、してくれよ……このままいっぱい虐められて、ヴィクトールからは離れられないんだって……身体に覚えさせるから」  縛り上げられただけだというのに、ヘンゼルのものはすでに勃ちあがっていた。ヴィクトールから心を離れさせたくない、だから、ヴィクトールにこうして緊縛されて、歓びを覚えたのだった。ただ、ヘンゼルに縄をかけているときのヴィクトールの苦しみといったら。ひとつ結び目をつくり身体を締め付けるだけで、ヘンゼルはゆらゆらと腰を揺らし甘い声をだした。あまりにも、淫猥だった。ヴィクトールは、このような破壊的なセックスを愛するヘンゼルとはしたくないと思っているのに、その想いと反して興奮してしまう自分に鬱屈としてしまったのだ。 「ひどいことって言っても……」  いくらでも、縛り上げたヘンゼルを虐める方法は思いつく。このトロイメライの団長なのだ、腐るほど選択肢を知っている。ただ、どこまでのものをヘンゼルが望んでいるのか予測がつかないうえに、あまりやりたくない。悩んだ末に、ヴィクトールはそっとヘンゼルの乳首に指を這わせる。 「あっ……まって、……」  ヴィクトールはヘンゼルを仰向けに寝かせ馬乗りになると、両方の乳首を指でつまみ上げた。根元から持ち上げるようにして、引っ張っては戻して、引っ張っては戻して……と繰り返すと、ヘンゼルの呼吸が乱れてゆく。 「乳首……弄りやすい形になってきたね……僕がいつも触っていたから」 「あっ……ん、んッ……俺、ヴィクトールの……モノだから……とうぜん、……あぁっ……」 「うん……触っているだけで気持ちいいよ、ヘンゼルくんのここ……僕のための身体だね、ヘンゼルくん……」 「んっ! ぁ、……ヴィクトールのための、身体……うん、俺……おまえだけの、……からだ……ぁ、ん……」  君は僕のもの。それを言ってやると、ヘンゼルは心底嬉しそうな顔をした。とろんと蕩けた目でヴィクトールを見上げ、頬を染め、そして乳首を触られて喘ぐ。  ゾクゾクした。自分の檻にこの美しすぎる青年を閉じ込めて、這いつくばらせて自分を請わせる……そんな嗜虐的な快楽。自分の内のサディズムを抑えるのは、なかなかに辛い。ヘンゼルが身体をくねらせよがる姿を見つめるヴィクトールの瞳は、舌舐めずりをする獣のように残忍だった。それでも、ヴィクトールはゆっくりと手を動かす。必死に自分の欲望を押さえつけた。 「んっ、ん……あっ、それ……だめ……あ、」  ヘンゼルはこりこりと乳首をこねくり回されるのが好きらしい。そうしてやると、快楽を余すことなく受け止めようとぎゅっと目を閉じる。たまらない、とでも言うように艶のある甘い声を唇からこぼし、もっと、と請う。    そんなヘンゼルに、ヴィクトールは随分といやらしい身体になったもんだと感慨深くなってしまう。初めの頃はセックス自体を拒否してきたのに、今や自分から誘ってきてあまつさえアブノーマルなプレイをよろこんで受け入れる。本人がそういうことを好きになったのかというとそういうわけではないようで、団員の何人かがヘンゼルに(軽い気持ちで)手を出そうとしたときは全力で拒否されたらしい。身体が敏感になってきたのは事実だが、抱かれたいと思うのはヴィクトールだけ、そういうこと。 「あぁ……っ、いく、……つよく、ひっぱって……あっ、いく、いく……」  ああ、可愛い。  自分に抱かれることを希うヘンゼル。自分だけを見てくれるヘンゼル。絶対に離さない、誰にもやらないたとえ、相手が弟であってもだ。ふつふつと、ヴィクトールの胸の中にヘンゼルへの愛がこみ上げてきて溢れてしまいそうになる。ヘンゼルのなかに巣食う何かがここからヘンゼルを遠ざけようとしているなら、何かを壊してやる。それが過激なセックスだというなら……やってやろうじゃないか。 「あっ……なんで、やめる、……」  ヴィクトールはヘンゼルの乳首を弄っていた手を離し、刺激をやめてしまう。物足りないという目で見上げてくるヘンゼルに、ヴィクトールは興奮しながらも静かに言う。 「寸止め。ちょっといじわるしたくなっちゃった。ごめんね」  そんな……、小さく呟きながら、ヘンゼルの目は悦びに濡れる。「いじわる」されるというのが嬉しかったのだろう。ヴィクトールは可哀想なくらいに大きくなったヘンゼルのペニスをちらりと見て、笑う。 「がんばってね」  ヴィクトールは縄を取り出し、脚にも巻いてゆく。脚まで縛り付けるのは辛そうだ、と思ってはじめはどうにも気後れしてしまったが、火がついてしまった。ヘンゼルの脚を折り曲げて、太腿とふくらはぎをくっつけるようにそこを縄で縛り、M字型に常に開脚させるような形に縛り上げた。あまりにも恥ずかしい格好に、縛り上げられている途中、ヘンゼルは顔を真っ赤にしていたが、やはり縄に締め付けられる度に小さく喘いでいた。縛り終わるころには、ペニスの先から先走りを垂れ流して、瞳を潤ませ頬を紅潮させて興奮していた。

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