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「ヴィクトール……それ、なに……」
完全に自由を奪われたヘンゼルにヴィクトールがみせつけたものは、小さなボールが連なった、手の先から肘までくらいの長さのアナルバイブ。歪な形状をしたそれはヘンゼルもみたことがなく不安を抱いたようだ。
「全部、中に挿れるからね」
「……そんなの、はいらな……」
「大丈夫、はいるから」
ヴィクトールがローションで濡れたバイブの先端をヘンゼルの後孔に近づけてゆく。怯えているのか、そこはきゅうっと締まって、拒絶をみせた。最近は道具を使うことなく、全てヴィクトールの体を使ってセックスをしていたから、というのも怖がっている原因かもしれない。しかし、何度もヴィクトールを受け入れたそこは柔らかく、まずは一つ目のボールをあっさりと飲み込んだ。
「あっ……」
ぴく、とヘンゼルが身動ぐ。先端の一つを挿れただけではそんなに負担にはなっていない。しばらくこの感触に慣らしてやろうと、ヴィクトールは先端のボールを一旦引き抜き、もう一度挿れる……この動作をゆっくりと繰り返してやる。
「あ……ぁん、……ん、ぅ……」
くちゅくちゅと水音をたてさせながら、入り口を虐めてやる。ボールを押し込めば閉じられた蕾は素直に開きそれを飲み込んで、ひとつボールが入るとまた閉じる。閉じたらまたひっぱってボールを取り出して……何度も何度もしつこく繰り返す。ボールが出入りするたびにヘンゼルのペニスはぴくぴくと揺れ、微弱な刺激に焦れを感じながらも確実に感じているということが見て取れる。
「も、……や、ぁ……ゆる、して……」
「足りないの?」
「おく……おく、ほしい……」
イきそうでイけない……そんな快楽にずっと苛まれ、ぐずぐずになったヘンゼルはとうとう懇願した。一つだけボールの入った後孔はなるほど、きゅんきゅんと疼いていてもっと奥まで欲しいと言っている。
ヴィクトールの瞳が眇められる。解されたそこは柔らかそうで、ローションでてらてらとぬめり、何でも悦んで呑み込んでしまいそうだった。体の内から沸き起こる興奮を抑え、ヴィクトールはゆっくりとバイブを押し込んでやる。ちゅるっ、といともたやすく二つ目、三つ目とボールを咥えてゆくそこは、卑猥で、神秘的。五つ目になった辺りで、まだまだ入りそうなソコに、人間って意外とすごいなんてしょうもない感想をもってしまう。無機質で変な形をした物体をこんなにも美味しそうに呑み込むことができるのかと。
「あっ、ふ、ぁ……あっ……あぁ……」
五つ入ったところでまた引き抜く。ポコポコと微弱な感覚が快楽に浸ったそこには大きな刺激となってしまうのか。びくんっと大きく跳ねた腰を見つめ、ヴィクトールはまた、バイブを押し込んでやる。暫くはそれを繰り返す。バイブの全長の三分の一程度の部分でこんなに感じているならこれからどうなるのだろう。変な高揚を覚えながら、少しずつ、少しずつアナルをバイブに慣らしてゆく。ずるっ、ずるっ。繰り返される抜き差しはヘンゼルの甘い声を奏で、ヴィクトール自身をも焦らしてゆく。
「あぁあ……っ、あ、んッ、……は、ぁっ」
「……っ」
もうそろそろいいだろうか。そろそろこっちの限界も近い。十分に解れ抵抗もなくバイブを咥える後孔を見ながら、ヴィクトールは言う。
「ヘンゼルくん……全部、挿れるよ」
六つ目、七つ目……持ち手に近くなっていくほどにボールのサイズは大きくなっていく。しかしヘンゼルは痛がることもなく、バイブが進む度に儚い声をあげながら身体を震わせる。
「あ……あ……」
異物感と、前立腺を擦られる快楽。様々な感覚が混ざり合って、気持ち悪いようで気持ちいい。大きく開かれた脚の間をヴィクトールに凝視されているのかと思うと、奥のほうがきゅんとする。ちらりと自分の下腹部に目を遣れば、弄られすぎて紅くなった乳首と勃ちあがり先から蜜をこぼす自らのペニスが視界に飛び込んできて恥ずかしくなった。見られていることに気付いたヴィクトールは顔をあげ、ヘンゼルと目を合わせる。紅い瞳と目があった瞬間、バチリと頭の中で白い火花が弾けて身体が大きく跳ねた。それと同時だろうか。バイブが最後まで入りきったのは。
「あッ……!」
ペニスの先からぴゅっと精液が飛び出す。それをみたヴィクトールが低い声で言う。
「……だめだよ、勝手にイっちゃ……」
ヴィクトールはバイブの持ち手を掴み、ぐいぐいと奥に押し込んでやった。持ち手の出っ張りが引っかかりそれ以上は入らないのだが、そうやって身体ごと揺さぶってやると、さらに精液が飛び出してくる。まだスイッチの挿れていないソレをヴィクトールは大雑把に震わせながら、ヘンゼルの奥、もっと奥のほうを刺激してやった。
「あぁあっ……だめっ……イッ……たすけ、……だめッ……」
大げさなくらいにヘンゼルは声をあげる。椛に抱かれたときはもう少し声がでていたかな、なんて考えてヴィクトールはさらに激しく揺すってやった。
「ひ、ぐッ……ぁああっ、あッ……!」
のけぞり、強すぎる快楽から逃げるように身体をくねらせる。しかし縛られた身体は思うように動かない。前立腺による絶頂は一度達しても快楽の波は止むことがなく、断続的にイき続ける。イッてもイッてもヴィクトールはバイブのボールを前立腺に擦りつけて、さらには長いソレでナカ全体を刺激してきて、ヘンゼルは延々と続く快楽から逃げることも出来ずにただ哭くことしかできない。
「だめ、だめッ……」
おかしくなってしまいそうだ。口からでている情けない声が自分のものなのかもわからない。身体が勝手にビクビクと震えるものだから疲れてきた。それでもまた、イッてしまう。視界がクラクラと歪み始め、もう飛んでしまいそうと、ヘンゼルがぼんやりと思った時。
「ひ、あ……!」
ヴィクトールがとうとうバイブのスイッチをいれた。中にずっぽりと入ったそれはブルブルと振動をはじめて、ぐねぐねとうねりだす。ヴィクトールがグリグリと手で刺激してきた時に比べれば刺激は薄いにしても、また微弱な快楽が下からジワジワと押し寄せてくる。
「ヘンゼルくん……何回イッたの?」
「は……、は……、わから、な……」
「次、僕のことも気持ちよくして」
ヘンゼルはぼんやりとヴィクトールを見上げる。次はどんないやらしいことをされるのだろう。身体が限界近くまでいって、もうやめて欲しいと思ったはずなのに、期待してしまう。
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