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*** 「准将、ひとつ質問が」  海軍基地について、バウスフィールドの部屋へいく。いつものように報告などをすませると、ウィルは改まったように話を切り出した。 「海賊は基本生け捕りにして公開処刑ということですが……それが難しい場合は?」 「……というと?」 「……生け捕りにするのが難しかったら……オーランド・ノースブルックはその場で殺していいですか」  ピリ、とした空気にバウスフィールドは瞠目した。昨日とは全く違う――歴然たる殺意を孕んだ瞳に寒気を覚えた。たった一日で、どこか痩せてしまったような印象も受ける。危うさを感じさせるその風貌に、胸騒ぎを覚えた。 「……できるだけ、生け捕りにするんだぞ」 「善処します」 「……それから、逐一時刻の確認を怠らないように。日没が近かったら、もしオーランドをみつけても無理に戦闘を挑むな。おまえがやられれば、隊全体が崩れる」 「……わかっています。大丈夫です……心配なさらないでください」  冷静さを欠いているわけでもない、しかし無茶をしてしまいそうなウィルの雰囲気に、バウスフィールドはただただ不安を募らせた。

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