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*** 「……」  気怠さを感じながら目を覚ますと、拘束を解かれた状態でオーランドに抱きしめられながら横になっていた。下腹部に違和感が残っている。激しい昨日の行為をぼんやりと思い出しながら、ウィルはオーランドに寄り添った。 「お、ウィル……起きたのか」 「ん……」 「寝顔可愛かったよ」  どうやらウィルが起きる前からすでに目を覚ましていたらしいオーランドは、自分に擦り寄ってきたウィルにご満悦といった表情で笑っていた。ウィルの顎に指をそえると、くい、と上を向かせてキスをする。ウィルはとろんと蕩けた表情でキスを受け入れオーランドの背に腕をまわし、しばらくされるがままになっていたが―― 「――うっ!?」  突然、オーランドの腹に蹴りをいれるようにして勢い良く体を起こした。そして、信じられないといった表情でオーランドを見下ろし、震える声で言う。 「……おまえ、何を」 「はあ、何って……キス」 「いけしゃあしゃあと……この、海賊が」 「……ウィル、おまえ、」  ウィルが素直になるのは理性が働かない日没後か寝ぼけているときだけ……それを悟ったオーランドはため息をつく。寝る時に辛いだろうと一度拘束は外してやったが、再び手と、そしてこんどは脚も枷で拘束してやるとベッドからおりて着替えを始める。 「……次、俺に隙のひとつでも見せてみろ……おまえの首食いちぎってやるからな」 「ひゅう……軍人っておっかないねえ」  へらっと笑うオーランドを、ウィルは恨めしげに睨みつける。昨晩、完全にオーランドに全てを許してしまった自分が情けなくて仕方ない。昔好きだったからなんだ――今は敵だっていうのに。それに、結局昨晩オーランドの側で歌っていた少年のことはわからずじまい。捕虜として船長であるオーランドの慰み者とされている可能性も、なきにしもあらず。だからといって、少年のことが気になるのだとオーランドに聞いてしまえば、彼に未練が残っていることを認めてしまうようで聞くことができない。 「ここで大人しくしていろよ。夜になったらまた可愛がってやるからな」 「くるな。もう二度と俺の前にその顔をみせるな」 「それはできない相談だ。この部屋は俺の寝室だからな」 「……じゃあこんなところに俺をおくなよ」 「……ほかのところにおいておいたら、船員に輪姦されるかもしれないぞ。……おまえの場合、ありえない話じゃないんだ」 「は……?」  わけのわからない、そんな表情をするウィルを横目に、オーランドは着替えを終えると部屋を出て行ってしまった。残されたウィルは、どうにかして脱出できないかと思ったが……もしも拘束をといて外にでたとしても、武器もなにもない状態で船員たちから逃げることなどできやしない。やはりもっと機会を伺っていくしかないか……様々なことで脳内がいっぱいになり、頭痛を覚えたウィルは、ぱたりとベッドに横になって目を閉じた。

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