＊＊＊ 「こんにちはー！」 「あらあらエレナちゃん、こんにちは！ ちょっと、ミリー、うちにくるなら先に連絡よこしなさいって言ったじゃない。そうしたら豪華な食事用意しておいたのに」 　きらきらと太陽が照らす、心地好い風の吹く昼下がり。女性が娘を連れて親元を訪れたようだ。玄関から顔をだした彼女の母は、ぶつぶつと文句を言いながらも嬉しそうに彼女たちを迎え入れる。 「ちょっとまっててね、もうすぐでアップルパイが焼きあがるのよ」 「ねえねえおばあちゃん！　私、おじいちゃんに会いたい！」 「あの人に？」 「おじいちゃんのギターを聞きたいの！」 「あらそうなの。じゃあ、呼んでくるわね。ちょっと待っててちょうだい」 　そう言って、女性の母は家の奥まで行って、少し大きな声で彼を呼ぶ。 「オーランド、……オーランド！　エレナちゃんがきてるわよ～！」