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「また、雨……」
学校が終わると、昼間は晴れていたというのに、雨が降りだしてしまった。校舎から校門までまた走らなければ……そう思ったところで、椛ははたと動きを止める。今日、授業を受けている間にずっと「花一匁」のことを考えていた。自分もあの世で幸せになりたいと思っていた。――朱坂神社へいきたい。
一度屋敷に帰ってしまえば、そこから抜け出すことは難しい。……となると、朱坂神社へ行けるのは、今。群青のいない裏門から学校を抜けて、神社へいけばよい。丑三つ時まで一人でいなければいけないのは辛いが、そうするしか他に手はない。幸い、今は天気が悪いため、群青の嗅覚は鈍っていて匂いで場所を辿ることもできないだろう。
「……」
行こう。もう、自分をみてくれない世界とはおさらばだ。
椛は下校する生徒たちの流れに逆らって、裏門へ向かった。
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