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追憶・絶望1

――――― ――― ―― 「やっぱり……綺麗だな」 柊と迎える、三度目の春。二人は寄り添いながら、部屋のなかから庭の桜の木をみていた。部屋のなかに舞い込んでくる花弁を、柊がひとつ摘み上げ、柔らかな眼差しでみつめる。 「柊様……」 「ん……群青、」 桜の花弁のなかの柊があんまりにも美しくて、群青は思わず柊に口付けた。柊はすぐに顔を蕩けさせて、群青に体をもたれかかさせる。 「ん……ん……」 甘い声が、群青の耳をくすぐる。桜の木は柊との出会いの思い出がつまっている。この花をみているとお互いにお互いへの想いがどんどん溢れてくる。口付けだけで柊がこんなにも蕩けているのは、そのためだろうか。 「あっ……群青、待って……」 群青は柊を後ろから抱きかかえるような体勢をとると、柊の着物を脱がし始める。柊は振り向いて、まつ毛を震わせながら制止の声をあげている。 「ここ……外から見えるから……」 「みていませんよ、誰も。桜の木で隠れてるし」 「でも……あ、っ……ん」 「柊様が好きすぎて……今すぐ抱きたくなってしまったんです……だめ? 柊様」 「……こんど、「待て」を覚えさせようかな」 「ふふ……俺のこと躾けるんですか? 楽しみです」 群青は柊の白い首筋に唇を這わせると、ちゅっ、と吸い上げた。ぴくん、と柊は揺れる。唇から熱い吐息が、零れ出す。 「あ……、ぁ、」 乳首をきゅうっと摘み上げた。軽くひっぱるようにして、こりこりと指先をこすり合わせるように刺激してやる。あっという間にそこは芯を持ち始めて、群青に虐められることを望むようにふくらんだ。両方の乳首をこねるようにして弄りながら首筋に痕を残していると、柊が身体を捩らせ、甲高い声をあげだす。 「あっ、ふ、ぁ……や、ん、ぁあッ……」 「感じているんですね……よかった、嫌だったらどうしようかと」 「やめ……言うな、恥ずかしい……あっ……」 「どうして? 可愛いですよ。柊様、可愛い、大好き」 「あぁあっ……! だっ、て……こんな、外からみえる場所なのに、触られたら感じるなんて……へんたい、みたい」 「誰からも見えませんって。それから、変態なんかじゃないですよ。柊様、俺のこと好きだから触られて感じてるんですよ……可愛い、可愛すぎ、柊様……俺のこと、大好きなんだね」 「あっ……! ぐんじょ……すき、……好き……!」 きゅうううっ、と乳首を強くひっぱりながら群青が柊の耳元て囁いていると、柊はあっさりと達してしまった。くた、と群青に背を預ければ、群青は薄く開かれた唇を吸い上げる。柊はされるがままになりながらも、嬉しそうに甘い声を上げ続けた。 「柊様……いれる?」 「え……」 「胸だけでイっちゃって……なか、淋しくない?」 群青が問うと、柊はかあっと顔を赤らめた。もじ、と脚を摺り合わせたところをみると……「欲しい」のだろう。それを悟った群青は嬉しくなって微笑んだ。 「柊様……どう? 俺にいっぱい突いて欲しくない?」 「……っ、群青……意地悪くなったな……」 「そう? へへ、柊様、どうなの? 俺はめっちゃいれたい。柊様のことぐちゃぐちゃに突いて、イかせて……柊様の可愛い顔、みたい」 「ひゃ、う……っ」 群青が柊の臀部の割れ目に指をぐっと這わせながらそう言うと、柊は群青にぎゅっとしがみついて身じろいだ。構わず着物の上から穴の部分をぐいぐいと押し込んでやる。 「う、……ひ、ぁッ……群青、ばかっ……」 「あっ、ごめんなさい、虐めすぎた!?」 「……まわりくどいこと、するな……! 僕が何をおもっているかくらい……わかるだろ……」 「えっと、」 「……いれて欲しいって言ってるんだよ……」 はあはあと息を荒げ、顔を真っ赤にしながら……絞り出すように柊は言った。可愛い飴と鞭だな~、なんて思って群青はへらっとにやけてしまう。 「はい、今度から気をつけます! 柊様が感じていることもいれてほしそうにしてるのも実は全部わかっているので、そのときは思いっきり挿れて可愛がってあげますね!」 「う……」 「じゃあ、柊様。着物、全部脱がせますね」 「ま、待て! 流石にそれは、ここじゃなくて……本当に誰からも見えないところで……」 慌てたように柊は言う。確かに全裸になって体を揺さぶられるのは、この場所では抵抗があるかな、と群青は納得した。群青は柊を抱きかかえると立ち上がる。 「じゃあ……寝室、いきましょう。そこなら……どんなに激しくしてもいいですね?」 「……っ、……うん」 群青の胸元に顔をうずめた柊の耳は真っ赤だった。 あーもー、可愛いなぁ、なんて。群青は柊の頭に口付けを落として、寝室へ向かった。

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