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追憶・絶望2

*** 「あっ、あっ、あっ、あっ……」  壁に引っ掻くようにして添えられた柊の手に、群青は自分のものを重ねる。立った状態で突かれるのが辛いのか、柊はぐっと俯いて崩れ落ちないように必死に耐えていた。がくがくと震える柊の腰は不安定で、今にも座り込んでしまいそうだったから、群青は片腕で腰をしっかりと抱いて身体を持ち上げてやる。脚に力が入らないのにそうされているから立っているしかなくて……柊がふらふらになりながら群青を受け入れていた。 「だめ……ぐんじょう……だめ、もう……あぁっ……」 「……激しくして、いいんでしょう? がんばって、柊様……」 「ゆるして、……もう、たって、いられな……あ、っ、……あぁっ……」  ぱたぱたと柊のものから精が飛び散る。突くたびに飛び出すそれは、柊の限界をみせていた。柊は壁にずるずると縋りつくようにして揺さぶられる。後ろからそれを眺めている群青にとっては……それはそれは絶景で、止めることができなかった。 「辛い? 柊様、やめる?」 「……、っ、う……」 「気持よくない? 柊様、やめていいの?」 「……ッ、きもち、いい……、きもちいい……、ッ、でも、もう……立てな……あぁ……」 「……大丈夫、俺が支えているから……ほら、もっと激しく突いてあげます。もっと気持ちいいですよ」 「あっ……あぁあッ……!」  ずん、と激しい衝撃が柊の身体を貫いた。その瞬間、がくんと力が抜けていったが、群青にしっかりと腰を支えられているため体勢は変わらない。そのままガツガツと勢い良く突かれて、柊は頭が真っ白になりながらよがり声をあげた。 「あっ! あぁあッ! あぁ!」  柊が何度も何度もイッて、本当にもう限界――そんなときに、ようやく群青も精を吐き出した。びくびくと身体を震わせ、なかに群青が全て放ったのちに、二人はずるずると座り込む。 「あ……あ……」 「柊様……」  ぐったりとしている柊に、群青は深い口付けを落とした。柊は群青によろよろと縋り付いて、もっと甘い口付けをせがむ。 「柊様……無理、させちゃいましたか……」 「……その、気遣いがもう少し早くできればな」 「……う、すみません……柊様が可愛くて……本当にごめんなさい……」 「……拗ねた犬みたい」  ふ、と柊が力なく笑った。もう一度群青に触れるだけの口付けをすると、そっと囁く。 「……怒ってないよ。気持ちよかった。……でも昼間からやることじゃなかったかな」  「足腰が立たなくなった」と照れたように笑った柊に、群青は胸を射抜かれて固まってしまう。 「ご、ごめんなさい! すみません!」 「……ん、大丈夫。ちょっと、昼寝でもしようか」  柊を布団まで運んで、二人でもぐりこむ。ぎゅっと抱きしめ合うと、暖かかった。    群青はやりすぎたと反省しながらも、この幸せに胸がいっぱいになっていた。いつまでも続けばいいのに……そう、思っていた。

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