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――ジジジジジ 「……!」 突然、目の前に逆さまの少年の顔があって、椛は心臓がとまるくらいに驚いた。 どういう状況だ、と思えば、仰向けに寝ている自分を、少年――いや、自分が覗きこんでいるらしい。 血塗れの顔、潰れた片目、手に持ったナイフ。 殺される――そう直感した。 「生キル、ツモリ?」 「え……?」 へら、と笑った彼は、正気ではない。 ぞく、と悪寒が体を貫いたが、椛は唾をのみ、答えてみせる。 「……苦しくても、生きます。彼と一緒に」 彼はしばらくぼーっと椛を見つめる。 やがて……なぜか、シャツを脱ぎ始めた。 わけがわからず、椛がその様子をみていたが……あらわになった、その肌をみて悲鳴をあげそうになった。 「……夢ヲミテイレバ良カッタノニ」 その体には、おびただしい数の傷があった。 ――ジジジジジ

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