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「あのね、ちょっとお使いして来て欲しいの……いいかしら」
「あ、はい。もちろん」
群青を呼んだ女・文は群青に一枚の紙を渡す。そこには店の名前が書いてあった。
「ああ……この店。わかりました、すぐに戻ってきますね。なにかあったら紅にでも」
「ええ、よろしくね」
群青は文にぺこりとお辞儀をして、部屋をでていこうとする。そのとき、外側から扉が開いて人が入って来た。
「あ……群青。どこかいくの?」
「ああ……おまえの着物をとりに、外に」
「そうなんだ。ありがとう……気をつけていってらっしゃい」
群青はふ、と笑うとひらひらと彼に向かって手をふる。部屋を出る瞬間に振り返って、穏やかな声でこう言った。
「……いってきます、椛」
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