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「俺のこと……好きじゃない? メル、ねえ」
「あぁっ……すき、じゃな……あんっ……」
「俺に触られてこんなに感じているのに?」
「これ、っ……はぁ……血をすわれた、から……」
「いくら催淫効果でそういう気分になって気持ちよくなったとしても……好きでもない相手に触られてそんな顔はしないよね?」
「か、お……?」
ぐ、とノアが顔を近づけてくる。じ、と獣のような瞳で覗きこまれて、ぞくぞくとした。
「こんなに蕩けて……俺に触ってくださいって言ってるみたい」
「あぁっ……ちが、う……はぁ、ん……」
きゅうっと乳首をひっぱられ、ぐりぐりと弄ばれた。ちかちかと視界に白い火花が散る。顔が火照ってきて、自分が今どんな顔をしているのかわからない。たぶん、だらしない顔をしている。目が潤んで視界がぼやけてくるし、口の中は唾液でいっぱいになるし。はあはあとあがってくる吐息は自分の甲高い声が混じっていて、それが聞こえてくるとたまらなく恥ずかしくなる。
「だめぇっ……のあ……!」
しつこく、激しく乳首を弄られて、メルは懇願するように首を振った。ノアの背に手をまわし、爪をたて、彼の首元に縋り付きながら……メルは達してしまった。
「乳首だけでイケたね、可愛い、メル」
「う、……」
耳にキスをされる。絶頂の余韻が残る身体に優しく触れられると、胸がいっぱいになる。髪を梳かれながら頭を撫でられ、耳元でくすくすと笑われると、もう抵抗するフリもできないくらいに気持ちいい。メルはぎゅっとノアに抱きついて、目をとじる。
「下も……ちょっといじろうか」
「えっ……」
ノアがメルの下半身に手をのばす。下衣に手を突っ込まれて、メルはぎょっと脚を硬直させる。下着のなかをいじられると、ぬるぬるとした感触が伝わってきて恥ずかしくなる。
「……パンツのなか、エッチな液体ですごく濡れてる」
「や、……」
「わかる? このぬるぬる、メルがだしたものだよ。乳首いじられてすっごく感じちゃったんだ、メル……可愛い」
「やだ、ノア……やだ……」
かあっと顔が熱くなる。少しだけ体を起こしたノアが、意地悪に微笑んでメルを見下ろしていた。あんまりにも恥ずかしくて、メルは手の甲で顔を覆ってしまう。
「これだけ濡れてたら……これつかっていけそうだね」
「……?」
「メルは……乳首は感度いいけど、お尻はどうだろう」
「えっ……」
「ちゃんとメルと付き合ったときにすぐにひとつになれるように、ここ、いっぱい弄って慣れておこうね」
臀部の割れ目に指が這って、メルはびくびくと震えた。会陰部のあたりをぷにぷにと触られれば、じわじわと熱がそこから広がってゆく。徐々に指の位置は後ろのほうへいって、窄みに指の腹がぴたりとはまる。そして、指にまとわりついた精液が、くりくりとそこに塗りこまれてゆく。
「あ、あぁ……」
「男同士のエッチでここ使うのは……知ってる?」
「……知ってるけど……は、はいらないって……」
「だから慣らすんだよ」
「えっ、……あ、やぁ……」
つぷ、と指が一本差し込まれてしまった。ずぶずぶとそれはなかに侵入してきて、圧迫感を覚える。思ったよりもあっさりと根本まではいってしまって、メルはなんだか脱力感を覚えてしまう。
「う……はい、っちゃった……」
「なか、ひくひくしてる……可愛い」
ノアが指を、ゆっくりと動かす。根本までいれたまま、内側のほうをごりごりと擦るように指を折り曲げたりして動かした。なかで他人の身体の一部が蠢く感触に、メルは恐怖を覚えてノアにぎゅっとしがみつく。痛みはない、でも未知の感覚におかしくなってしまいそうだった。
「ひゃ、……」
「……あ、ここかな」
「なに、が……う、っ……あぁっ、ん……!」
「今感じやすくなってるから見つけるのも楽だったな~」
ノアはメルの前立腺を発見したからか、ごきげんといったふうに笑った。急に下半身の力がガクンを抜けるような感覚を覚えて、メルは驚いて目を見開く。そんなメルの表情すらも愛おしいといったふうにノアは微笑んで、構わずに指先で前立腺をこすりあげた。ぐりぐりとそこをいじくってやれば、メルの身体が跳ね上がって、なかはぎゅうっと締まる。乳首を弄っていたときよりもずっと甲高い声を出すメルは、もう感じて感じてしょうがない、といったふうに顔を蕩けさせていた。
「なに、これぇ……! あ、あぁっ……ひゃあっ……」
「どう? 乳首とかチンコで感じてるときと……違う?」
「ちがっ……すご、い……だめっ、おかしく、なっちゃ……だめぇっ……」
「中イキも覚えられそう。エッチな身体のメル、超可愛い」
「だめっ、だめだめっ……! そこ、やだっ……だめっ……いく、いくいく、いっちゃう……!」
メルがいや、と言ってもしつこくそこを弄り倒してやった。ぶんぶんと首を振り、襲い来る強烈な快楽にメルは必死に抵抗する。しかし、逃げることはできなかった。ぞぞぞ、と一気に痺れにも似た熱が下から全身を貫いて――メルは達してしまったのだ。
「あぁあっ――……」
ぐ、と身体を縮こませてノアを抱きしめて、そしてふっと力が抜けたようにメルは横たわる。ぽーっとした瞳で、熱に浮かされたようにはあはあと息をするメルをノアは愛おしげに見下ろして、顔にキスの雨を降らせた。蝶々がひらひらと舞うような、優しいキスを。
「気持よかったでしょ、メル」
「……ん、」
「感じているメルの顔……本当に可愛かった」
「あっ……」
手を重ねて、そして唇を首筋に。薄い皮膚へ触れるだけのこそばゆいキスを何度も落とすと、メルがくすぐったそうに身を捩る。
「ノア……だめ……」
メルはぼんやりとする瞳で、空を見上げた。光の差す青空と自分たちを囲うように咲き誇る薔薇の花。この空間を包み込むのは、その香しい香りたち。神に祝福されたようなこの美しい花園で自分は……快楽に溺れている。
ふと身体を起こしたノアが、青空を遮った。ふっと微笑んで、彼は言う。
「俺はいつ……メルを神様から奪えるの」
優しいのに、狼が獲物を食らうときのような熱を汲んだ眼差し。ぞく、ぞく、と身体が疼く。
「……ノア……見ないで」
とくとくの脈打つ心臓が答えを知っている。でも、自分の口からそれを言うのが怖いから。
「可愛いから、目が離せない」
「やめてくれ……」
「……なんで?」
「……心臓が、壊れそう」
……食べられてしまうのを、待っている。
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