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太陽がきらきらと輝いている。メルは町のはずれにある広場のベンチの上で横になっていた。ノアはたぶん、どこで待っていても来てくれる。だから、なんとなく今日は人気のないこの場所でメルは待っていた。
早くノアに会いたいなあ、なんて思う。あんなにも優しい彼だから、彼を好きになってもきっと神様は許してくれる。薄れてゆく罪悪感は、メルの意地っ張りを壊していく。
「メル! ここにいたの」
「……ノア」
ふ、と太陽を遮ってノアが覗きこんできた。
突然現れるなあ、なんて思ってメルはじっと何も言わずにノアを見上げる。ノアは首をかしげて、「どうしたの?」と声をかけてきた。それでもメルが黙っているからだろうか――ノアはベンチの背もたれに手をついて、メルにキスをしようとした。そこでやっと、メルは動く。ノアの胸を軽く押して、キスを拒絶した。
「……キス、しちゃだめ?」
「ううん」
「じゃあなんで拒否するの!」
「……ここじゃ、だめ」
メルは身体を起こす。そして、はっと目を見開いたノアの胸に、とん、と額をあてた。
「……おまえの部屋で、して」
もうノアを拒絶しない、好きという気持ちをごまかさない。そう決めた途端、ぶわっと溢れてくるノアへの恋心。どくどくと高鳴る心臓をごまかすように、メルはぎゅ、とノアに抱きついた。
「……メル」
ノアは息を呑んで……そして、メルを抱きしめ返す。
「……俺、我慢できないかも」
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