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*** 「う、……ん……」  天井から垂れる鎖がメルの手を頭上に拘束する。服を剥がれ、裸で立つメルをベリアルが後ろから抱きすくめ、乳首をこりこりといじくりまわす。 「何を怯えているのですか? 私は貴方の苦しみを消してあげようとしているだけなのに」 「あっ……あぁん……だって、ノアを好きって気持ち……わからなくなる……あっ……」 「伯爵への恋心がそんなに大切ですか? いじらしいですね。もともとそんなもの、貴方には必要ない感情でしょう? 人食いの種族の貴方には」  人狼に近付けば近付くほど、人間らしさは失われる。人間らしさを失えば……愛を失う。ベリアルという強力な悪魔に犯されればきっと、すぐに秘術が溶けてしまってノアへの恋心を失ってしまうだろう。 ――それが、メルは怖かった。メルの中でノアへの恋心は宝物のようなものだったから。メルの中できらきらと輝いていたものだったから。 「うっ……うう……」 「伯爵にたくさん愛されたのですね。とても貴方の身体は敏感だ。こんなに感じて……」 「感じてないっ……や、あぁ……あぁんっ……」  きゅううっと乳首を引っ張られて、メルの身体がぐぐっとのけぞる。鎖ががしゃがしゃとなって、喧しい。 「いやだ……いや、いや……あぁっ……」  後孔に指を挿れられたとき、もうだめだと思った。凄まじいまでの絶望が襲ってきた。じゅくじゅくとベリアルの指先が中を掻き混ぜる。犯される……ノアを好きだという気持ちが消えてしまう。走馬灯のように走るノアとの思い出に、メルはぼろぼろと涙を流した。優しくて、少し子供っぽいかと思いきやふとした瞬間に男らしさをみせてきて。彼の笑顔は太陽のように輝いていて。 「あっ……」  ほぐされた秘部に、ベリアルの猛りがあてがわれる。人間のものとは違う、大きいソレ。ソレから放たれる精液によって、これから自分は壊される。 「メル様……お美しい。さあ……その唇から哀歌を奏でてください」 「あっ……ああ……」  はいってくる。熱が肉壁をメリメリとこじ開けていて、奥に入り込んでくる。痛い、苦しい……そう思ったが、ベリアルの腰の動きは絶妙なもので。メルのいいところを集中的にこすりあげるようなピストンで、瞬く間にメルを絶頂に導いてゆく。パンッ、パンッ、と肉のぶつかる音が冷たい空間に響き渡り、同時にもがくメルの手が鎖を騒がせる。 「あっ、あっ……のあ、……のあ……やだっ……のあ、好き……好き、好き……のあ……!」 「ああ……なんて甘い響きでしょう。メル様……素敵です!」 「ひっ、あっ……やだっ、やだ、やだ……! 中に出さないで……! お願いします……いやだ……!」  泣きながら、甘い声をあげながら……メルは懇願する。しかしベリアルはただ残酷に微笑んで――メルのなかにびゅるびゅると大量の精を放ってしまった。 「あ……ああ……あ、あ……」  ズボッとベリアルのペニスが引き抜かれると、たらりと精液が秘部から溢れ出し、メルの太ももを伝う。その感触に、中にたくさん出されてしまったのだと悟ったメルは――その瞳から光を失う。ノアへの想いが消えてゆく。その覚悟ができなくて……メルは壊れたオルゴールのような、歪で悲惨な泣き声をあげることしかできなかった。

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