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第52話 蒐集Ω -5-
先輩は素早く僕をベータの運転手さんを指定して、タクシーを使って僕の家に連れてきてくれた。
お手伝いさんは女性のベータさんで、誘導されて先輩は結局僕を横抱きにしたまま部屋のドアを開けられ、中まで来てしまって……。
こうなってはもうベッドのアレが丸見えだ。
ベッドの上には先輩の古着で囲いが……。
「……これ、は……"巣"?」
「ぅ……ううっ……」
「悠真って、巣を作るタイプのオメガだったのか……」
「はい……」
「……巣材は……いや、何でもない……とにかく休め」
言いながら僕を巣に入れようとして、先輩は気が付いてしまった……。
「あれ? これ……全部……俺の?」
「はぁああぁぁう……!」
密かに勝手に先輩ので作った巣を本人にバレるだなんて、最悪!! 僕、変態確定じゃん!!!
今回もここで静かに過ごすはずが……校内でヒートを起こして目の前の先輩に迷惑かけて家まで送って貰って、コレとは……!!!
「……この……服、は? 俺が前に売った……」
「はい……先輩が以前売った古着で……僕が全部買って、コレクションしていたんです……」
「え!?」
あ。言った後で思ったけど、コレってガチストーカーっぽい。
「あ、あの、先輩が古着を売った店は、姉ちゃん……姉が経営する店で、僕、たまたまその日臨時バイトを……!!」
ひゃー! ひゃー! ひゃー!! もう、どうしよう!!?
俯いて滅茶苦茶焦っていたら、耳元に先輩の甘い声が突き刺さってきた。
「……悠真、カワイイ。すげぇ。密かに俺の物を巣材にして、……二年も前から俺で埋もれたいくらい好きなの?」
「…………」
「なぁ?」
「ふぇッ……」
「泣かないで、答えて?」
「~~~~はい……好きです」
先輩の甘くて熱い声に脳みそが蕩けた。
僕は震えながら先輩に縋り付いて告白していた……。
そして先輩が僕に質問してきた。
「俺の古着で一番どれがお気に入り?」
「この……古着の青パーカを手に入れる前から、先輩の事が好きでした……。僕の一番のお気に入りなんです……」
僕の答えに「それ、俺の気に入りの部屋着だったやつだ」との答えが……!
それって一番着ていた、って事ですか!?
僕が導き出した答えに一人感動していると、先輩の腕の力が強くなった。
「あの、さ? "番"を前提に……お付き合い、しようか? 俺も悠真が好きなんだ……」
「え!?」
「……だってさ、悠真のフェロモンのニオイ……凄く落ち着く……これって、"運命"ってやつじゃないかな?」
「!!!」
そう言って先輩は僕の耳の後ろをくんくんしてきた。
ぼ、僕も先輩のニオイ、凄く落ち着きます!!!
「せんぱぃ、うれし……すき、だいすき、なんです……」
「俺も、悠真が好きだ」
そして僕は先輩の腕に囲われた。
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