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第53話 蒐集Ω -6-
【α/伊宮side】
部活の時、長めな前髪をシンプルなピンでサイドで留める悠真。
俺のウェアを着て、ブカブカな姿で笑顔を俺に向けてくる……可愛い。
それにあの大きな茶色い目で見上げられると、もう……撫で繰り回して……うん、R18。
……しかし、これは悠真限定だ。
どうして……。男子校の可愛い後輩、という枠を飛び越えた感情が俺を支配していく。
それに、悠真は……
「すぇげえ、良いニオイ……なんだよなぁ……はぁ。食べたい……」
「あ? 伊宮? 美味いモンでもあったか?」
「あった。超、好みな、美味そうな……そんで、すげぇ落ち着く匂いが時々フワフワ漂ってくる可愛い子なんだ」
「落ち着く匂い? しかも人か」
「あーもー……俺、どうしよう?! なぁ、臼井!!」
「は!? 急に振るなよ……って、お前の言葉を総合すると、それって"運命"?」
「運命?」
「そうだよ。アルファとオメガの……あの"運命の番"ってのじゃね?」
「!!!!」
青天の霹靂。
目から鱗。
臼井、お前は水泳部の副部長じゃなくて神様だったのか。
部活や試合の時、悠真にウェアを渡して着せて……あの預ける行為。
俺、無意識に回りを牽制してたんだな……。
納得した。
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