63 / 69

第63話 白兎祭 -1-

「―……はぁ……はぁ、ぁ……ああッ……」 初発情期に入った悶える疼きに耐えながら、僕は白い薄絹の着物一枚で布団の上で手足とペニスの根元を縛られた状態で横になっている。 今晩、僕は古くからの村の祭りである『白兎祭(はくとさい)』の後、番になるアルファと特別な儀式に挑む。 ちなみに僕の手足とペニスを拘束している布は番の衣類だ。 -……~~……―……~……~~…… 「~~~ッ……フー、フー、フー……ぅううぅッ……」 遠くから神輿を担ぐ男達の力強い掛け声と、村人達の歓声が聞こえる。 静かなここからでも分かるくらい、祭りは盛り上がっており、その熱気がここまで伝わってくる様だ。 力強い声と独特の熱気…… そして神輿担ぎの中心人物が僕の番・薙矢(なぎや)。 「は、ハァ……ハァ、はぁ……く……くぅうん…………あぁっ……」 ―とぷ…… 小さいけど彼だと分かる声を耳が拾った途端、僕のペニスから透明な汁が零れ、アナル内部に蜜液がじゅわりと湧き出た。 けど、蜜液はアナルから零れず内部に溜まる。 何でそうなるかというと、僕はアナルに栓をされているから。 正確には栓は先が丸い球形の棒で、先には柔らかな銀糸で出来た兎の尾を模した可愛らしい獣の尾。 それが今、僕のアナルに栓として挿してある。 アナルを柔らかくしペニスを受け入れやすくする特別な神液をアナルに注入され、尾を挿して漏れるのを防いだ状態。 それが今の僕。 早く、早く……オメガの僕に番になるアルファのペニスを頂戴……。 そんな状態で、僕は神社の奥にある神木前に敷かれた番となる者の衣服を縫い合わせて素材として使われた布団の上で、村の祭りが終わるのを待っている。 オメガな僕は今年、祭りでの村の護り神の白兎神(はくとしん)様を宿す神樹内部に神婿(かむみこ)から受けた雄汁(おじる)と、更に自身からも神汁(かむじる)を神樹に注ぐ役の"白兎神子(はくとみこ)"に選ばれた。 そして幼馴染のアルファの薙矢は、村人側から選ばれる護り神に人の雄汁を捧げる役である"神婿"。 薙矢と僕は運命の番同士で、この儀式を受けるのは生まれた時から決まっていた。 僕の村では昔から不思議な事に三百年毎に、『運命の番紋』を持ったオメガとアルファが同時に生まれる。 そして番紋を持って生まれたオメガの初めての発情期は、決まって十六歳。 だからそれに合わせて村の祭りが行われ、僕と薙矢は御神木の前で『まぐわいの初夜』という儀式を行う。 これが滞り無く行われる事で村は、飢えも疫病の起こらない不思議な神の加護を受け続けられるのだ。

ともだちにシェアしよう!