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 魔獣と聖獣は、5段階にレベル分けされている。ハンターに狩ることが許されているのは、レベル4までの魔獣であった。最高ランク、レベル5はハンターの安全性を考慮して狩ることを許されていない。  ハンターは、レベル4までの魔獣、または悪魔がのったリストを見て自分で狩る獲物を決める。それぞれに設定された賞金を、報酬としてその場で受け取ることができるのだ。もちろんレベルが高いほうが賞金は高く、レイはそのときリストに載っているもののなかで最も高額のものを選んでいた。  すべてはラズワードのために。毎晩毎晩、凄まじい怪我をしながら家に帰ってくる。 「……奴隷商がくるのは……7時です」 「……な、もうすぐじゃないか! はやく逃げるんだ! 施設にぶち込まれるぞ!」  ラズワードがこの時思ったのは、レイが死んでしまったら、自分が奴隷施設に入れられてしまうということ。……そう、兄の死を悲しいんだのではなく、自分の身を心配したのだ。自分のために、兄が死んだというのに。 「……」 「おい、ラズ!」  それに気づいたとき。いや、今までは気づかぬフリをしてきただけだ。   「……無理です」 「なに言っているんだよ!」 「……奴隷商から逃げることなんてできません。……そもそも俺に生きている価値なんてない」 「はあ!?」  他人よりも自分を優先する。こんな醜い人間。  どうしてレイはこんなくだらない人間のために命を賭けることができたのだろう。その答えが、ラズワードには全くわからななかった。 「……奴隷商に捕まるくらいなら、ここで死にます」  ラズワードは腰の鞘からダガーを抜いた。  きっと俺はレイのようなことは一生できない。自分のことしか考えられないのだから。俺とレイの違いはなんだろう。 『愛しているからだろ?』    もしかしたら、レイは俺のこと、愛していたのかもしれない。それが家族愛なのか性的なものなのかなんてどうでもいいけど。  そうか、俺はこんなに自分のこと愛してくれた人のことを、ただの奴隷商から逃げるための盾というくらいにしか考えていなかったのか。なんて最低な人間なんだろう。 「バカ、やめろ!」  刃で首を掻っ切ろうと、ダガーを首に添えた。慌てて止めようとするグラエム達を無視して、ラズワードは手に力を込めた。   「っう……!?」  しかし、それは叶わなかった。強い衝撃と共に、ダガーが吹っ飛ばされたのだ。  グラエムたちが止めたのかと彼らを見たが、彼らも驚いたような顔をしている。何が起こったのかと、そうラズワードたちが呆然としていると。   「困るな、そんな勝手をされては」  その声がした方を見れば。最も恐れていた者たちが、そこにいた。  二人の黒いスーツを着た男。そして、その二人の後ろに立つ、銃をもった黒いローブを着た仮面の人。 「……奴隷商……!!」

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