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「あ、あぁ……」
「ラズワード……もっと、声聞かせて」
「んっ……!?」
ハルはラズワードの口を抑えている手を掴んでベッドに縫いつけた。指を絡め、ぎゅっと握り締めて。口元を覆うものがなくなってしまったラズワードは、声を抑える手段がなくなってしまった。勝手に零れてくる自分の声に、犯されてゆく。
「は、ぁ……あぁあ……」
「可愛い……」
「んぁっ……! ハル、さまぁ……」
ちゅ、と音をたてて吸われると、ラズワードはびくりと体を跳ねさせた。ハルの手を握り締める手に力が篭る。
目を閉じて、ハルから与えるれる快楽に悶えた。身をよじればその髪がパサパサと枕に散ってゆく。シーツにしわを生んでゆく。
ほんのすこしの刺激で純情に反応を示してみせるラズワードが愛しくて、ハルはちらりとその顔を伺い見ようと上目遣いに見上げた。そうすれば丁度ラズワードは目をあけていて、ハルと目を合わせてくれる。潤んだ瞳にハルの姿を映し出すと、ラズワードは淡く微笑んだ。
「……は、ぁ……ハルさま、」
「……うん、」
「そこ、なめられると、きもち、です……でも、」
は、とラズワードは熱い吐息を吐き出す。そしてその瞳から一筋涙を流して、そっと絡めた指を解きハルの頭を抱き締めた。
「あんしん、します……なんだか、あったかく、なるんです」
「……そっか、」
「ん、あっ……」
初めて人を愛して愛された。そしてその人と体を重ねた。そのせいなのか。触られた場所から柔らかな炎が灯ったように暖かくなってゆく。乳首を吸われるとなんだか切なくなるような落ち着くような、不思議な感覚が。初めてのこの感覚がもどかしくて、ラズワードは溺れてしまいそうになった。
その陶器のような白いすべやかな肌に、キスをおとしてゆく。舌先で舐めればなぜか仄かに甘みすらも感じて、ハルは夢中でラズワードの身体を味わった。荒い呼吸のたびに僅かに動く身体は見ているだけでもどうにかなってしまいそうだった。
「ハル、さま……あっ……」
全身をゆっくりと舐めてゆく。その度に少しずつ違う反応を見せるラズワードが、ハルは可愛くてしょうがなかった。ちょっと笑ってみせたり、甘い声をあげて悶えたり。その度に、ああ、ここを触られるとラズワードはこんな風に感じるのかと、ラズワードのことをもっと知ることができた気がして、ハルは妙な胸の高鳴りを覚えた。
「すっごい可愛いんだけど……」
「……あんまり、言わないでください……」
「なんで? 嫌?」
「……はずかしく、なるじゃないですか……」
「……やっぱり可愛い」
ハルは堪らず、再び唇へキスを落とす。ちゅっと軽くキスをしてやると困った顔をして見上げてくるラズワードがどうしても可愛くて、ハルは額に、瞳に、頬に、鼻に、そしてまた唇に。たくさんのキスをラズワードに浴びせた。
「……くらくらします」
「……顔、赤いね」
「だって……むねが、くるしくて……なんだか、せつなくなって……」
ラズワードは淑やかにハルの首に腕を回して、キスを誘う。
「……ハルさま……ほんとに、ほんとに……俺、ハルさまのこと、好き、なんです……」
息のかかる距離。濡れた青い瞳でうったえるようにハルを見つめて、溶けてしまいそうな声でラズワードは言う。だめだ。ハルのなかでなにかがプツリと切れる。好きすぎる。ぽろりと涙が零れてしまった。そうすればラズワードびっくりしたような顔する。
「ハル様……?」
「……幸せすぎておかしくなりそう」
「……、俺も、です」
あは、と涙ながらにラズワードは笑う。幸せそうに笑うな、そう思ってハルはまた胸が苦しくなった。
「……ラズワード」
「……はい」
「……好き」
「……はいっ……」
ハルはそっとラズワードの下半身に手を伸ばす。そうすればピクリとラズワードは身動いだが、ハルのシャツをきゅっと掴むだけで抵抗はしようとしなかった。
少し緊張気味に見つめてくるラズワードに、ハルは「いい?」と囁いて口付ける。そうすればラズワードはこくりと頷いて微笑んだ。微かに震える手で、ハルはラズワードの肌を隠す残りすべての布を脱がせてゆく。露わになってゆく肌をほんのりと冷たい空気がなぜればラズワードは恥ずかしさに唇を噛んだ。
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