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*** 「あの……レヴィ様」  マグニフィカトも終わり、レヴィとミオソティスはマクファーレン邸に戻ってきた。全く知らない屋敷に連れて来られたミオソティスは、びくびくと肩を縮こませて歩くばかり。寝室に入れられて、恐る恐る尋ねたのだった。 「……私は……何をしたらよろしのでしょうか……夜伽、を……」 「いや、そういうのいいんで」 「で、では何を……」 「あのー……その敬語、やめてもらえねえ?」 「で、ですが! 貴方は貴族様で、私は、……奴隷です」 「……じゃあ、命令ってことで。敬語やめろ。俺のことも呼び捨て」 「そ、そんな……」  オロオロとするミオソティスの手を引いて、レヴィはベッドの上に座る。はあ、と溜息をつくレヴィの顔色を伺うように、ミオソティスはちらちらと視線を泳がせた。レッドフォード邸で会った時には乱暴者という印象しか受けていなかったため、何も手を出されないとなると、かえって落ち着かない。 「あの……私と、レヴィさ……レヴィは、幼なじみとおっしゃって、……言ってたけど、本当なの?」 「ああ。おまえ、昔の記憶ないんだってな」 「ご、ごめんなさい……」 「いや、それはいいよ、仕方ない。……俺とおまえの家は、親が仲良くてな。染師のおまえの家に親がいくってときに、よく俺も連れて行かれた」

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