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第3話
何が起きたんだ。
不安になると同時にちょっと腫れているように見えるそこへ指を伸ばした。
どうなっているのだろう?という疑問と不安から。
しかし俺が乳首を指で突こうとする一歩手前で泰士に手首を掴まれ、触ることを憚られた。
「っ……、なに?」
「あ……いや、ちょっと待って」
「何が?」
「何がって触ろうとしただろ」
「うん。だって明らかに腫れてんだろこれ」
「わかんねぇけど、今ここではやめとけよ」
泰士はそう言ってまるで俺の胸を隠すように、中途半端に首元に弛んで引っ掛かっていた体操着をぐっと下へ下げた。
何故か泰士は怒ったような不機嫌な表情で俺を見ている。
何なんだよ一体。こっちは病気じゃないかと気が気じゃないのに。
着替え終え、泰士と一緒に教室を出た。
体育館は教室のある棟とは別棟の4階にある。階段で上がっていかなければならないので少し面倒だ。
泰士と肩を並べて体育館へ向かう途中、泰士が普段俺にするように肩に腕を回してきた。
いつもは肩にずしっと泰士の腕の重みを感じて鬱陶しいのだが、今日はそれとはちょっと違う。
ぐっと肩を抱き寄せられたように感じた。重くないし……。
「なぁ、さっきの。後で見せて」
「さっきのって?」
「胸だよ胸」
「うっわ……なんかその言い方ヒワイ~」
茶化してそう返してしまったけど心配されてるんだろうなってすぐわかった。
俺だって着替えの時からずっと気になってる。
体操着の上からだってちょっと尖って見えるのが滅茶苦茶気になる。
「いい?」
泰士が俺の顔を覗き込む。
いつにない至近距離にどきっと心臓が小さく跳ねる。
小綺麗な顔をしているんだ、本当に。顔のパーツ一つ一つが整っていて全然オトコ臭さを感じないし泰士に告白されたら女の子は誰だって付き合うんじゃないかって思う。
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