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第22話

「君と仲良くなるチャンス、だよ」 「俺……と?」 つまり、ここにいるα全員がΩと出会いたいと願っていたということだろうか。 けれどΩなら誰でもよいのかという疑問が湧いてくる。 しかし俺も同様に自分に合うαを無意識に探しているのだから、こいつらをどうこう責める資格などないと思うけれど……。 一体泰士はどういうつもりでこいつらと俺を引き会わせたのだろう。 「泰士は……それでいいのか?」 俺はぱっと振り返り、後ろにいる泰士に顔を向けた。 「いい訳ないだろ。けど、俺の知らないところで手ぇ出されたらたまんねぇからさ」 「泰士……」 泰士とは友人関係をキープしたいと思っていたけどあっさりヤっちゃったし、泰士がいつも俺のことを可愛いって熱っぽく耳元で囁くから、何となく泰士の気持ちもわかってしまった。 その上で泰士がこう言うのだから別に俺も遠慮とかしなくてもいいのかな。 雨とは言えど、それでも漂うαの香りが鼻腔の奥を擽り続ける。 発情期前には感じることのなかった香り。 ずっと嗅いでるとイヤらしい気分になりそう。 早めにここは切り上げた方が良さそうな気がした。 ……なんだかよくわかんないや。 「皆チャンスが欲しいんだよな。いいよ。但し、俺、周りにはβだって言って生きてるから俺がΩだってことは内緒にしてくれる?俺はβとして平穏な学校生活を送りたいんだ」 俺がそう言うとみんなすんなり納得してくれた。 次第に雨足が強くなり、俺達はその場で連絡先だけ交換して別れた。 俺と泰士は屋上へ続く非常階段の途中に腰を下ろし昼食をとることにした。 膝の上に弁当箱を乗せて蓋を開けると、タマゴとツナのサンドイッチとウインナー、剥きリンゴが入っていた。 「秀哉の弁当そんだけ?少なくね?俺のわけてやろっか?」 見れば隣の泰士はがっつりボリュームたっぷりの豚のしょうが焼き弁当だった。 「わ、すげー肉。でも薬の副作用かわかんないけど今日はあまり食べられそうにないから軽食にしたんだ。ありがとな」 「そっか。……なんか……悪かったな」 「なんで?泰士は何も悪くない」 「だってさ……、急にあんなαに囲まれたら怖くねぇ?」 「何言ってんだよ泰士。今さらだろそんなの。泰士と勢いでヤって、Ωに煽られたらαがどうなるかってのは何となくわかったし。それに俺、本能的に番探ししちゃうから、寧ろ都合良かったかも……」 「え、えーっ!……マジで?……ちょっとショック、いやすげぇショックなんだけどーっ!」

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