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第28話

てことは、行く行くは俺と番になって結婚とか……そういうことを考えてるってことだよな。 言い寄られる立場としてはちょっとだけ浮かれるくらいには嬉しいけど、なんか……違う、かも……。 将来の約束をするのならば、もっとドキドキしてときめいて、心の底からずっとずっと一緒にいたいと思える相手じゃないとと思っていた。 泰士はその対象か? それに泰士のセックスは野獣じみていてただ突っ込んで揺さぶるだけ。 それだけでもぶっ飛んじゃいそうな程の快楽に飲まれてしまうけれど、身体中撫で回されて舐められるようなもっと愛のある蕩けるセックスがしたい。 うんと甘く抱かれたい。 「……なんか違うんだよな」 もちろん泰士のことは親友として大好きだ。 楽しいし、一緒に居れば落ち着くし楽だし、これ以上ないくらいの相方と言える。 でも、エロいことしちゃうのは互いのバースのせいで、恋愛感情ではない。多分。 なのに勢いでヤることやっちゃってるから、余計に泰士が期待を抱いてしまうのかもしれない。 それに俺が無意識にα探しをしてしまうように、泰士だって俺より優秀なΩを見付けたら、きっとそっちに心変わりするんじゃないだろうか。 だって俺はただの凡人で、何かに優れているわけではないし。 「……それはそれでイヤかも。って、もう!だあ~~っ!」 自分で自分がわからない。 何をどうしたいのか、泰士と今後どうなりたいのか。 「うぉぉ……、わかんねぇ~っ!」 わしゃわしゃと頭をかき混ぜていたら、泰士がジャージの入った袋を持ってきてくれて、様子のおかしな俺を見て胡乱げな視線を投げて寄越す。 「ヤり過ぎで頭おかしくなった……?」 「違うしっ」 わざわざ着替えを持ってきてくれたのに何だが、俺は泰士の手からひったくるようにして袋を奪い取った。 「んじゃなんだよ。あ、わかった。発情期だから生理中の女みてぇな情緒不安定だ」 あぁ?なんだと。 ピキンと額に青筋が立ちそうになった。 「女じゃねぇから一緒にすんな!デリカシーの欠片もないな」 「なんだよ。秀哉怒りすぎじゃね?」 これがイライラせずにいられるか。 女じゃないのだから女扱いされて良い気分になどなるはずもない。 「決めた」 「え、何を?」 Ωの気持ちがわからない奴め。 俺は空気を読まない泰士に向かって宣言した。 「俺、この学校にいる全αと一回付き合ってみる」 「は?ちょっと待って……、え、全α?」 「そう。連絡先交換した人達全員」

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