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第43話

花村先輩は巾着を手にしたまま俺を床に下ろし、巾着の中からタンポンを手にした。 「今なら誰もいないから、これで取り敢えず応急処置して、落ち着くようならクレープ買いに行こう」 そう提案する先輩の呼吸はさっきよりも幾分落ち着いていた。 「先輩の薬、即効性あるんですか?」 「あぁ。ラットは急激に訪れるからそれを鎮めるためには即効性がないと意味がない。無駄話は後にしよう。今なら誰もいないから。中野、俺にもたれ掛かっていいからおいで」 「……」 そのタンポンを先輩が入れてくれるということなのか。 先輩が言うように母さんの準備してくれたそれらが体液を吸収させるためのものだったら。 ……どう考えてもそれしか考えられない。 断ろうにも断れない、先輩の真剣な眼差し。 そしてその方法以外にこの場を収める手段がないというのも事実。 これ以上濡れたら制服にまで染みるのは時間の問題。学校だったらジャージに着替えることも出来るが、このままでは家に帰るまでずっとフェロモンを漂わせながら歩くことになる。 それは恐らく相当危険なことだ。 例え俺が襲われたとしても、襲った側が被害者と見なされる可能性も往々にある。 自分だけでなく、αの人々にまで迷惑をかけてしまうことになるだろう。 そしてこの状況で種付けなんてされてしまったら……。 誰の子供かわからない妊娠をする自分自身を想像し、恐怖にぶるっと肩を震わせた。 最低最悪の事態に陥ることは免れたい。 俺は意を決して言われた通り、先輩の胸に肩を寄せた。 遠慮がちに体を寄せると先輩が急いたように俺の腰に手を回し、ぐっと抱き寄せる。 制服越しに感じた力強く優しい手に、強いαの香り。 そこに恋愛感情がなくても胸が高鳴り、抱かれたいと思ってしまう。 違うだろう!俺はクレープが食べたいの!! 俺は先輩に体を預け、先輩がタンポンの包装をパリパリ開ける音を聞きながら、「クレープ、クレープ、クレープ……」と、まるで呪文でも唱えるかのように同じ言葉を繰り返す。 「……そんなに食べたかったのか。今度から付き合うからいつでも誘ってくれ。悪い、中に手を入れるぞ」 俺は黙ってこくりと頷いた。 先輩の手が手早く俺のベルトを緩め、両手で細いウエストをするっと撫でながら下着の中へと侵入する。 「ん……」 敏感になっている今の状態で下半身を撫でられるだけでも、甘ったるく、ねだるような声が鼻から漏れる。 先輩の手が迷いなく臀部に到達し、俺の尻朶をゆっくりと左右に開いた。 ぬちゃりと湿った音がした。 「あ、あ、んふ、ふぅ……」

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