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第45話
暴走した欲求を吐き出して余計に先輩の顔を見ることができなくなる。
俺はやり場のない感情をぶつけるように額をぐりぐりと先輩の胸に擦り付けた。
止められなかった。
そんなことしてくれる筈ないとわかっていても言わずにはいられなかった。
「中野……すごく濡れてる」
「……っ」
濡れてるだなんて、先輩に言わせてしまった。
俺の淫乱な部分を指摘されたようで、はしたないと思うしそれ以上に恥ずかしい。
低音が心地好い先輩の声で卑猥な自分の状況を囁かれる日が訪れるとは。
その声にさえ、ぞくぞくと背が震え、余計に体が熱くなった。
顔なんか上げられない……と先輩の胸に顔を埋めていると、耳の辺りに温かい何かが押し当てられ、チュッという小さなリップ音でそれが唇だと気付く。
「あ……」
性的ニュアンスを含んだキスでの愛撫にぞわりと体が震える。
先輩は耳、首筋に柔らかく唇を落としながら、蕾を指で開くように拡げながら、手に持つものをあてがった。
「ん……ん……」
冷たいプラスチックの感触。
最早それでもいいから早く入れて欲しいと思ってしまうどうしようもない俺のΩ。
「は、早く、早く……」
先輩は頬や首にキスを繰り返しながら、後孔へゆっくりと冷たいプラスチックを押し込んでいく。
「んっ、もっと、奥にいれて……っ、もっとぉ……!」
無意識にいやらしく強請ってしまい腰が揺れる。
先輩は俺のそんな恥ずかしい姿に動じることなくキスで俺を宥めながら、後孔へ蓋をする作業に集中しているようだった。
滑りを帯びた蕾の奥へ、ぐっとタンポンを押し込まれ外側のプラスチックだけがするりと抜け落ちる。
小さな筒状のプラスチックの出入りで尻の内壁を擦られただけでも快感が大きく下肢に広がった。
「ぁ……あぅっ、うっ……んんっ」
性器の先端から何かが零れる感触があった。
精液なのか、それとも別の何かなのか。
自分では判別がつかないが、ただただ、気持ちよくて更なる刺激を追い求める欲求が頭を占める。
「入った。これでいいんだよな、多分。中野、大丈夫か?」
俺は首を横に振った。
大丈夫なわけあるか。エッチがしたくて腰の揺れが止まらない。
膝がかくかくと小刻みに揺れ、笑っている。
理性が邪魔さえしなければ、今すぐ全裸になって太くて長いもので自分を慰めるところだ。
我慢できている今の俺、すごい。
先輩の手が俺の頭を優しく撫でる。
先輩は、俺を撫でる傍ら、反対の手に握りしめていたタンポンの包み紙をじっと見ていた。
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