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第46話

「過剰な分泌液を吸収し穏やかな効き目で後孔内の疼きを緩和します……と書いてある」 「え……?」 先輩は包み紙に書いてある文字を読み上げているみたいだった。 「これは薬効成分が配合されてるみたいだな。どうやら男のΩ専用のもののようだ。ちゃんと装着できたからもしかすると今の状態が少しはよくなるのか?」 「……そうなの?」 それが本当ならば非常にありがたい。 なんと画期的なΩのお助けグッズだろうか。 「大丈夫。薬も飲んだし、じきに治まるだろう」 先輩は俺の腰に手を回し、俺をぎゅっと抱き締める。 背中を優しく擦られて、少しずつ体が落ち着きを取り戻していった。 同時に昂っていた気持ちも鎮まり始めた。 飲み薬が効き始めたのだろう。 それから先輩に挿入してもらったものにも薬効成分が含まれていたみたいだし、きっとその効果も相乗されている筈だ。 俺は先輩の胸元のシャツをぎゅっと握って再び顔を埋めていたのだが、次第に体の強張りが解けていくのを感じ、ゆっくり顔を上げた。 「もう、大丈夫みたいです」 「そうか、よかった。しかし抑制剤を服用して同様の効果のあるものを使ったわけだから、似たような薬を過剰に摂取したことにならないか心配だな」 「今のところ気持ち悪いとか、頭痛いとか、特にないんで大丈夫だと思います。先輩、クレープ行けます?」 先輩を見上げて当初の目的が果たせそうか聞いてみた。 すると先輩が困ったように形のよい凛々しい眉を下げて微笑む。 「俺は構わないが、中野は本当に甘いものが好きなんだな。それはそうとクレープは食べるとして、その後のことが心配だからクレープを食べ終えたら中野の家まで送らせてくれ」 「え……、いや、俺んちなんか見ても面白くないですよ。そこそこ年季の入った古い家だし」 ごく一般的な一戸建ての家に住んではいるけれど、裕福な家庭ではないので、その一戸建ても中古のもので親が苦労して購入したものだった。 Ωがいるというだけで薬代などで家計が圧迫され生活が苦しくなる。 対して世間一般的なαを有する家庭は、その殆どが人生の勝ち組だ。 花村先輩だってきっと立派な邸宅に住んでいるに違いない。 そんな人に俺の家を見せるのは気が引けた。 「中野の住む家を見に行くわけではないし、どんな家に住んでいたって構わない。それよりも一人で家に帰すのが心配なんだ」 「そんな、本当にもう大丈夫ですよ。フェロモン出てない俺なんて誰も気にも留めないですから」 「そんなことはない。男にこんなことを言われても嬉しくないかもしれないが中野は可愛い。色っぽいし綺麗だとも思う。だから今日は俺に送らせてくれないか」

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