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第二幕
「隠れ家カフェ?」
昼下がりの教室。雑談をしているクラスメートの話に、契は首をかしげた。「隠れ家カフェ」という契には理解不能の言葉を発したのは、契のクラスメートである女子生徒・愛。愛は女性向けファッション誌を広げながら、目を輝かせて話している。
「そう、隠れ家カフェ巡るの最近ハマってるんだよね~」
「……なんで隠れる必要がある?」
「隠れてるからいいの! 鳴宮くん、一緒に行ってみる? 行くとハマるかもよ~?」
「いや、俺はいい」
「ちぇー」
色んな理由をつけてはデートに誘う、これはこの学園の女子生徒がよく契にする手口である。契はそのすべてを適当にあしらっていたため、今回も同様に断った。残念そうに唇をとがらせる愛に、隣にいた別の男子生徒が「じゃあ俺と一緒に行こう!」なんて言っている。
――契が女子からのデートを断る理由は。
ひとつ。この学園の女子生徒に自分に見合う女子がいないから。超絶イケメンで天才的頭脳を持った俺様には平凡な女子など不釣り合いなのである。
ふたつ――こっちの理由が実のところ大きいかもしれない。契は……デートをしたことがないため、デートの仕方を知らないのである。
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