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第7話

船は特に行き先もなく、帆をたたみ、波間をゆらゆら漂っていた。 抜けるような空には霞のような雲が時折浮かんでいるだけ。 甲板の階段に座り込んで、シラキはそんな空を眺めていた。 驚くほどの穏やかな時間。 こんな時間が自分に再びやってくるとは、思ってもみなかった。 ここしばらく、日の光の下にも、出ていなかった。 こんなに広い空も格子越しの小さな窓からしか見えなかった。 全てが新鮮に思える。 空を飛ぶ鳥さえ。 「ん?」 見たことのない大きな鳥が、船に近付いていた。 思わず立ち上がる。 鳥はカラフルな羽をばさっと言わせ、甲板近くを一周すると、マストに止まった。 「呼び出しだ」 振り向くと、階段の上で鳥を見上げたテラサキが舌打ちをしていた。 「…なんか、早くない?」 甲板の端で腕組みをしたユカリが、やはり鳥を見上げていう。 アイカワも鳥を見上げている。 「海軍島での騒動が耳に入ったのでしょう」 「厄介だ」 ムラサキも鳥を見上げ、船長を見る。 「仕方ない、行くぞ」 「了解」 ヤマサトは鳥を見上げながら、シラキの側にやってくる。 「憎ったらしい鳥。撃ち落としちゃおうか」 「やめときなさい。面倒が増えるだけよ」 シラキはもう一度鳥を見上げた。 「シラキ、手伝って」 ムラサキに呼ばれ、帆を張る手伝いをする。 船が帆を張ると、鳥は飛び去って行った。 「…あの鳥、なんですか」 「呼び出しですよ、ある島からのね」 アイカワが珍しく眉をひそめる。 ふと振り向いた階段上には、テラサキの姿はもうなかった。 テラサキの姿を探して、船長室に足を踏み入れると、テラサキは窓のそばのソファーに座り、外を見ていた。 「あの鳥、なんなんですか」 シラキは近付いて、テラサキの目の前に立つ。 「…アンタが気にすることじゃない…」 そうは言っても、明らかに船員たちは不機嫌だし、船長も何か考え込んでいる。 気にするなという方が難しい。 「僕を助けたことが、関係してるんじゃないんですか」 海軍島での騒動と言えば、シラキの件しかない。 シラキを助けたことで、テラサキが何か面倒に巻き込まれるのは嫌だった。 「気にするなと言った」 「………」 「アンタはただここにいればいい」 それはあまりにもシラキの人格を無視した発言だ。 自分だって、考えるし、心配をする。 ただ、テラサキのセックスの相手をするだけじゃない。 「こい」 テラサキに呼ばれても、シラキは動かなかった。 テラサキは一瞬眉を寄せたが、構わずシラキの頭を掴み口付けをする。 シラキのズボンに手をかけ、引き下ろすと、まだ柔らかいソレに口付けをして、先端の窪みに合わせて舌を這わせる。 「ん、っっ」 シラキの反応を楽しむように時々見上げながら、裏筋を舐め上げ口に含む。 唇で根元から扱きあげるように動かすと、シラキの手が髪に巻きついてきた。 「ん、んぅ、ん」 口の中のシラキの先端を舌先で刺激しながら、繰り返し吸い上げる。 荒い息をしながら、シラキが快感に眉を寄せた。 糸を引きながら口を離すと、テラサキは体重をかけ、シラキを引き倒した。 ソファの上で重なるように倒れこむと、足を開いて、シラキを自らの秘所に当てがう。 そして腰を押し付けて、自分に侵入させた。 「はあ、ああ」 「っ、く」 シラキが快感に吐息を漏らす。 「動け」 テラサキがシラキの頭を引き寄せ、耳元で囁くと百合根は目をぎゅっと閉じ、それからゆっくりと動き始めた。 「ああ、あ、ああ、んあ、い、いい」 動きに合わせて、テラサキが喘ぐ。 最初は抵抗するように頑なだったシラキも、もう止まらない。 「あああ、あ、あ、ん、あ」 不意にドアが鳴らされる。 思わずびくっとドアを振り返ったシラキの下で、テラサキが少し身じろいだ。 「船長、もうすぐ港につくわよ」 抱き合ったまま、テラサキはドアを振り向いた。 「そのまま船をつけろ。終わったら行く」 「りょーかい」 ユカリの軽い返事がした。 「仕方ない、イかせろ」 テラサキがシラキに抱きつくと、シラキはしばらく動かない。 「どうした。早くしろ」 シラキはぎゅっと眉を寄せると、強く腰を打ち付けた。 「ん、はあ、あ」 再びやってきた快感に、テラサキが身悶える。 シラキは黙々と腰を動かした。 「は、あ、い、い、でる」 テラサキはぎゅっとシラキに抱きつくとそのまま背中をしならせ、達した。 シラキはぎゅっと目を閉じて耐え、テラサキが落ち着くと体内から出て行く。 「………?……」 荒い息をしながら、余韻でとろんとした目のままテラサキはシラキを見上げた。 「どうした」 「………」 シラキは答えず、ソファーから降りようとする。 それをテラサキは引き寄せた。 「どうした、イくまで続けろ」 「…イッたじゃないですか…」 「俺じゃない。アンタだ」 「……」 「…なんだ…」 シラキは苦笑いした。 「すいません、萎えちゃいました」 「……………」 テラサキが離すと、シラキはソファーから降り、服を整え始めた。 その様子を不審そうに眺めていたテラサキだったが、やがて自分もソファーを降り、服を整えた。

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