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1-2:陰謀の始まり

 昼休みの騒々しさの中、三咲は机に突っ伏していた。愛らしいと評判の瞳には似つかわしくない深い憎しみが見えている。 「あいつ、絶対に許さない」 「あ~、そりゃ~悠が悪いよ~」  三咲と机を挟んで向かい合うように、一人の少年がいる。  濃いブラウンのちょっと跳ねさせた髪に、大きなピンクの猫目の少年は実に楽しそうな笑みを浮かべている。 「よりにもよって白鳥に見つかったのが運の尽き~」 「楽しまないでよ、優斗!」 「にゃはは~♪ 他人事だもーん」  凄い勢いで睨まれてもまったく臆する様子のない彼は、本当に関係無いと言わんばかりにパックジュースを啜っている。 「もう、本当に最悪!」  バンッと机を叩いた三咲はカバンからスマホを取りだして、それに何やら打ち込んでいる。 「なーんだ、持ってるんじゃん」 「こっちは古いやつなの。取られたのは昨日買ったばかりだったんだから」 「ありゃー、ご愁傷様」 「優斗だって持ってるじゃんか」 「バレるようなヘマしないも~ん」  空っぽのパックを耳の側でカタカタっと振った彼は興味なさげにそれを放り投げる。宙を舞ったパックは綺麗な放物線を描いて見事ゴミ箱へと吸い込まれた。 「よっしゃ!」 「ガキ」 「いーじゃん」  恨みがましい目を向ける三咲に、彼はブスッとして言った。 「それにしても、白鳥か。先輩の話だと、昔から厳しいって有名だって」 「堅物。ボクの必殺『捨てないでご主人様ウルウル上目遣い』が通用しなかった」 「ショタ趣味の先生以外には効果ないよそれ」 「担任には効いた」 「それ、注意しないと危ないって」  呆れた様子の彼の言う通り、三咲の容姿はショタ趣味にはたまらない。  ふわふわと手触りの柔らかなピンクのマッシュボブ、大きな桃色の瞳、愛らしい顔立ちに低身長。制服のズボンも狙ったように半ズボンだ。その筋の人には襲ってくれと言わんばかりに見えるだろう。 「平気だよ、あの担任スケベそうだけど度胸はなさそう」 「あー、それなー」 「それにしても、むしゃくしゃする!!」  腹の虫が治まらない様子の三咲は暫くイライラと愚痴を言い続けている。それを聞く少年は、多少面倒そうだ。 「そんなにむしゃくしゃするなら、なんか仕返ししたら?」 「例えば?」 「うーん……弱み握るとか」 「そんなのあるわけ……」  ふと、三咲はスマホを弄っていた手を止めてニヤリと笑みを浮かべた。 「探ってみるだけ、やってみようかな」 「悠?」 「丁度、退屈してたんだよねぇ」  呟いた三咲は再びスマホを操作し始めた。

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