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「波折、先輩……? あ、ちょっと……」
波折の色っぽい表情に沙良が焦りを感じていると、なぜか波折が体勢を変えて沙良の上に乗っかってきた。そして再び抱きついてくる。
「……ん?」
どこか、違和感を覚えた。波折の動きが変、だと思ったのだ。
「……波折先輩?」
波折の身体が揺れている。そして、下腹部を沙良のものにこすりつけるようにして、上下に動いている。何か変だとは思ったが、波折のそこが、堅くなっている。
「え……ええっ、波折先輩!?」
そこでようやく、沙良は波折の状態を理解した。彼は、発情していたのだ。下腹部同士をこすり合わせるようにして揺れ動くその様子は、さながら対面座位のようで。堅くなったそこを沙良のものにこすりつけることで、彼は自慰をしていたのだ。
「ま、待っ……波折せんぱ……」
「あっ……あ、……ぁあ……」
「……」
当然、沙良はびっくりして、もはや何がどうなっているのかわからなくて、波折を自分の上からどかそうとしたが……彼の甘い声と、その表情をみて固まってしまう。
「あ、……ぁあ、……ん……あぁ……」
(……エロ、)
そこは普通、怖いと思うところ。男が自分の身体を使って自慰なんてしていたら。しかし、完璧なまでに整った顔立ちの彼、普段偉そうにすましている顔が蕩けている様、嫌いな相手がどうしようもなくなっている姿……それは、沙良の興奮を煽ってしまったようだった。
なんとなく……悪戯心で、腰をぐい、と突き上げてみる。
「あぁっ……!」
「……」
そうすれば、波折の身体はびくんと大きく跳ねて、もうだめ……と言わんばかりにくたりともたれかかってきた。ふつふつとこみあげてくる、嗜虐心。もっと突き上げたら……どうなるのだろう。
「あっ、……あぁっ……だめっ……あ! しんどう、くん……」
「……変な声、だしてんじゃねえ……よ!」
「あぁッ……!」
ぐ、ぐ、と何度か腰を突き上げて波折を揺さぶってみた。その度に波折は身体をびくつかせて、甲高い声をあげる。ぞくぞくと。何かがこみ上げてきた。
「……」
沙良は、は、と息を吐く。――そして、生徒会室の扉の、鍵を閉めた。
自分は何をしようとしているのだろう。沙良のなかに焦りが湧いてくる。しかし、艶かしい波折の姿をみていると、勝手に身体が動いてしまう。止まらない。
波折の身体を抱きかかえ、ひきずるようにしてソファまで運ぶ。もう波折は抵抗なく、押し倒される。だらりと肢体をソファに投げ出して、ゆらりと沙良を見上げた。はあはあと呼吸をするたびに、波折の胸が上下する。沙良はたまらず、波折のカーディガンとシャツを掴み、めくりあげた。白く、程よく筋肉のついた細い身体があらわになると、こくりと沙良の喉がなる。
「波折先輩……苦しそうじゃないですか」
「しん、どうくん……だめ……」
波折のうるうるとした瞳から、ぽろりと雫がころがってゆく。沙良がすうっと波折の身体に手を滑らせてゆけば、波折は目を閉じて、顔を紅潮させて、身体を震わせた。ぐ、と自らの口を手で塞ぐ様子は、これ以上恥ずかしい声をださないようにと我慢しているようにもみえる。
「波折先輩、ねえ……すっごいここ、勃ってるけど。触られたいんですか?」
「ん、んん……!」
沙良がぴんっ、と乳首を指で弾くと、波折はびくんと身体を跳ねされる。根元から掴んでぎゅうっと引っ張っていけば、それに合わせてぐぐっと身体はのけぞってゆく。
「あ、あぁー……あ、あぁあ……」
たまらない……そんなふうに、波折は顔を蕩けさせた。掴んだまま、ぐりぐりと円を描くように回してやれば、波折はへら、と笑って更なる甘い声をあげる。
(なんだこれ……ド淫乱じゃん……そんなに嫌がってないし)
普段とはまるで別人。そんな波折に沙良は驚きっぱなしだ。しかし驚きよりも先にくるのが、興奮。あの、みんなの王子様の波折を蹂躙することに、興奮が止まらない。
「しんどうくん……しんどう、くん……」
ベルトを外し、下衣を脱がしてゆくと、波折は僅かに抵抗を示した。ただ、そんなうっとりとした目で見つめられて、口だけで「だめ」なんて言われたら余計にやめられない。
「一緒に、抜こうか。生徒会長」
「……や、……しんどうくん……」
現れた波折のペニスは、可哀想なくらいに膨れていた。すでに先走りが零れているそれをみて、沙良は嘲笑うように目を細める。沙良も自らの自身を出すと、波折のそれに擦り付けた。
「あっ……ぁあ……あつ、い……しんどうくん……だめ……」
波折のものと自分のもの、両方を一緒に握ってしごきはじめる。波折の脚を開かせて、その間に割入って、そこで腰を軽く振りながらしごいていると、波折を犯しているような気分になってぞくぞくする。沙良が腰を振って手を動かすたびに、波折がびくんびくんと身体を震わせるのだから尚更だ。
「あっ、やっ、ぁああっ、しんどう、くんっ……」
「……!」
波折が手を伸ばしてくる。まるで縋り付いてくるように。沙良はすっと目を細めて笑う。体を倒して、波折にのしかかるような体勢をとれば、波折はぎゅっと抱きついてきた。
「あっ、あっ……しんどうくん……ふ、ぁあっ……」
「気持ちいい? 生徒会長?」
「きもち、いい……! きもちいい、あぁっ……」
沙良がペニスをしごく手を早めていくと、波折が沙良の肩に顔をうずめてふーふーと熱い息を吐く。自分の手の中でどうしようもなくなっている彼の姿に、沙良はくつくつと笑った。
「生徒会長……もっと可愛い声で鳴いてくださいよ……誰にも聞かせられない、エッロイ声、俺に聞かせてください」
「ひ、ゃあ……しんどうくん、……あっ、もっと、……もっと……」
そろそろ出そうだな、そう感じた沙良は体を起こす。ペニスの先を波折の身体に向けて、手の動きを早めていく。
「あ、あっ、でるっ、……しんどうくん、でる……!」
「……俺も、イきそ……」
腰を振れば、ソファがぎちぎちと音を立てた。波折は迫り来る快感に悶え、身体をくねらせる。
「んっ……!」
やがて、びくんとペニスが震えて白濁が飛び出した。沙良もほぼ同じタイミングで吐き出す。飛び出たそれは、ぱたぱたと波折の腹にかかってゆく。
「は……はぁ……」
射精を終えると、体に滞留した熱が引いてゆくような気がした。それと同時に、興奮も冷めてゆく。
「……っ」
そうすれば、視界のなかの波折の姿に血の気がひくのを覚えた。精液まみれになり、服を半分脱がされた状態でぐったりとしている彼。いかにも犯されました、といったその姿に、沙良は今更のように罪悪感を覚えた。
そこで自分がなにを考えていたのかは、わからない。沙良は急いで乱れた服装を整えると、立ち上がる。そして、かばんを持つと、あろうことか波折のことを放っておいて、逃げるように教室を飛び出してしまったのだった。
沙良の出て行った教室は、いやな静寂に包まれる。一人取り残された波折は、ぼんやりとソファに寝転がったままだった。
「……ん、」
波折は腹に散る精液を指先にとって、眺める。しばらくその体勢でぼーっとしていると、ぱた、とその手を腹に置く。
「ん、……ん……んー、」
ゆっくりと手のひらを滑らせる。精液が、ぬるぬると身体に広がってゆく。胸元までのばしていって、精液で濡れた指先で乳首を愛撫した。くるくると乳頭を優しく弄って、精液を塗りたくる。そして、沙良にされたように根元を掴むときゅっ、と引っ張った。
「あっ……んん……しんどうくん……ああっ……」
指を咥えて、ずるずると出し入れする。唾液がつたっていくのは、気にしない。乳首を弄り、指で咥内を犯し、時折沙良の名を呼ぶ。
「……は、ぁ……だめ……だめ、だから……」
ぴくぴくと身体を震わせて、未だ火照る身体を慰めた。ぎち、とソファが軋む。首を傾けると同時に、涙がこぼれ落ちた。
「……俺に、近づかないで……」
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