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スーパーを出て、家まで徒歩10分ほどの道を歩いてゆく。相変わらずのすまし顔の波折を、沙良は横目でちらちらと何度も見つめていた。
朝のあの柔らかな態度の波折が、きっと本当の彼。最近は少しずつ本当の彼に近い姿をみせてきてくれていたのに、魔女の一件でまた、ぱたりとみせなくなってしまった。振り出しに戻る。そんな言葉がどっかりと沙良にのしかかってくる。
「先輩、また泊まりにきてくれたりしませんか」
「……なんのために」
「え、えっとー……ご、ご飯をつくりに……」
「ふざけんな。自分で作り方を覚えろ」
「ですよねー……」
一緒にいて楽しいから、なんて言う勇気が今はなくて。適当なことを言えば波折は吐き捨てるように拒絶した。
「……俺も、夕紀も……二人でご飯食べるの、少し寂しいんです。だから……波折先輩も一緒に食べてくれたら楽しいなって。大勢で食べたほうが、楽しいでしょ」
「……」
ひとりごとのように弱々しく言った沙良の言葉を聞いていたのかいないのか……波折は黙り込んだ。そして、ふい、と沙良から目を逸らして、ほんの少し寂しそうに目を細めた。
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