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「んっ……」
波折をどろどろに甘やかしながら抱く妄想をして、沙良は達してしまった。動画にでてくる少年が丁度、波折と体格が似ていることもあって妄想が滾ってしまって、妙な満足感を覚える自慰だった。しかし、後処理をしているときの虚しさは半端じゃない。
「あー俺何やってんだろ……」
ティッシュをゴミ箱に捨てて、沙良はベッドの上にごろりと横になる。
……本当に、このベッドの上に波折がいて自分に熱視線を向けてくれたなら、幸せなのに。あの動画にでてくるように、必死に自分を求めてくれたなら――
夢で終わってしまうのだろうか。波折のことを、こんなにも大好きなのに。少しずつ、距離は狭まってきているのに。
「……焦ることはないか……」
沙良はぼんやりとしながらスマートフォンのメッセージの画面を開く。生徒会のメンバーのIDは全員知っているから、波折のも知っている。波折との、真っ白なトーク画面を開いて空欄のバーをタップするとキーボード画面が現れる。「おやすみなさい、また明日学校で!」そう入力して――すぐに、消した。
ため息をついて、アラームだけを設定してスマートフォンを投げ出す。
「……波折先輩ー……」
目を閉じても、波折のことを延々と考えてしまって……なかなか寝付けなかった。
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