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波折が、ゆっくりと首をふって拒絶する。鑓水はしばらくそんな波折を無表情でみつめていたが――突然、波折を机の上に叩きつけるようにして引き倒した。片手でチョコレートの包み紙をとって、ぐ、と波折の口に押し付ける。
「食えよ」
鑓水は低くそう囁くと、頑なに口を開けようとしない波折の頭を掴んで、指を口の中に突っ込んだ。そして、無理やりチョコレートを押し込んで、手のひらで口を塞いでしまう。
「チョコレートを食っただけでド淫乱になるみたいじゃん。どんな調教うけてきたの? ご主人サマに」
「……っ」
強制的にチョコレートを口のなかにいれられてしまったものの、吐き出すわけにもいかず、波折はそれを呑み込んでしまった。それを確認した鑓水は波折の口から手をはなして、うっそりと笑う。波折は涙目でそんな鑓水を睨み上げた。
「……なんで、」
「なんで? こっちが聞きてえわ、なにJSの生徒会長様が変態ビデオにでてんだよ。っは、他の生徒が知ったらどうなるだろうねえ、失望するか、面白がるか……はたまた俺みたいに――興奮するか」
「……慧太、」
この男は……こんな人間だったか。いつもの飄々とした態度は……あれは……
焦りと混乱と――様々な想いが波折のなかで渦巻いてゆく。黙りこむ波折を見下ろして、鑓水は再び無表情となって冷たく言い放つ。
「波折。俺さ――入学してからずっと、おまえのことしか考えていなかったんだ」
は、と波折は息を呑む。窓から差す夕日の逆光で影のかかった鑓水の顔。たしかに劣情を抱えたその瞳は、視線だけで燃やしてしまうほどにじっとりと波折をみつめている。
徐々に熱くなってゆく身体、あがってゆく吐息。鑓水はチョコレートを食べたことによる症状が出始めた波折の髪をひっぱり、部屋の隅に設置されているソファに放り投げる。ぐったりとしながらこみ上げる熱に耐える波折を見下ろして、鑓水は波折の背に足を置く。
「あっ……」
「今の俺の気持ち……わかる?」
「……知らな、……」
「ああ、勘違いすんなよ。おまえのことしか考えていないっていっても……好きとかじゃないから。某副会長ちゃんみたいに」
ぐ、と足に力を込めて、鑓水は波折の背に体重をかけてゆく。まともに動けない波折はただ、その苦しみに耐えることしかできず、喘ぐことしかできなかった。
「俺さ、昔っから一番しか知らない人間だったわけ。何もかも、一番。手を抜いても、一番。みんな雑魚。俺はさ、人生つまんねえって思ってたけど、親がゆーしゅーな俺をみて喜んじゃって、JSにいけっていうから、なんとなくここに入学したわけ。どうせここでも一番かなってそう思ったらさ。新入生代表の挨拶、俺じゃないじゃん? なんかすっげえイケメンな奴が新入生のなかで入試トップだったとかいうじゃん? 噂によればJS制度始まって以来の入試満点で入学したとかいう化け物。それが、おまえなわけだよ」
「……」
「――興奮したよね。俺より上の人間がこの世にいるんだって。生まれてこの方なんにも興味が湧いたことがなかったけど、おまえに俺はゾッコンだった。はじめて俺は、他人に興味をもった。嫉妬とか、そんな気持ちはなかったよ、ただ単純に――すげえって、そう思ってた」
鑓水が足をどけて波折を仰向けにさせて、その上にまたがるようにして座る。波折のネクタイをほどいていけば波折は抵抗を示したが、その力は他愛のないもの。ぱし、と波折の手を払ってネクタイをとき、それで波折の手首を縛り上げる。そしてカーディガンごとシャツをまくりあげ、腹から胸にかけてゆっくりと手のひらを滑らせていった。
「なのにさ、ある日たまたま見つけた動画に、おまえそっくりの奴がでていた。俺ね、たぶんこの学園の誰よりもお前のことを見ているから、勘でわかっちまった。細かくみていけば――やっぱり、どう考えてもそいつはおまえで」
「あっ……」
「俺……すっげえ、もう、めっちゃ興奮した。俺のたった一人の憧れの人間がさ、こんな俗なことやってるなんて。この学園の誰よりも低俗なことやってるんだ、おまえが。普通そこは失望するところじゃん? でもなんか、普通の人間だったら絶対やらないようなクズみたいなことやってるおまえに、俺すげえ興奮したんだよ」
鑓水が波折の両方の乳首をぎゅうっと根本からつまみ上げる。そうすれば波折は甲高い声をあげながら、ビクビクと身体を跳ねさせた。そんな波折の反応をみて鑓水はまた嗤って、ごりごりと乳首を刺激する。
「あっ、あっ、あっ、あっ……」
「なんだろうね、上から下に突き落とす感じ? 崇めていた人間を見下せる感じ? すげえ、イイ。なあ、波折……俺の奴隷になれよ。二番手の俺に、服従してよ。会長様」
鑓水の顔が歪む。あまりの豹変っぷりに、波折は半ば怯えながら快楽に悶えていた。
チョコレートの作用が完全に身体に行き渡っている。快楽に従順な身体は鑓水への抵抗を奪って、波折は甘い声をあげることしかできない。下半身を覆うものを全て剥がれて、脚を開脚させられて……その姿はまさしく服従するイヌのよう。勃ちあがってしまったものからは透明な雫がこぼれ落ちていて、それをみて鑓水は嘲笑する。
「うわっ、こんなことされて感じてんだ。ドン引くわ。なあ、淫乱会長ー、わんって言ってみ。わんって。イヌみたいにさ」
「……ッ」
「いっつもやってんだろ、そういうこと、ご主人様と。いうこと聞けよ、みんなにバラされたい?」
「……わ、わん……」
「ブッ、ウケるんだけど! あー、ほんと、おまえ最高だわ」
鑓水が波折のものからでている先走りを指に絡め、秘部に塗りつける。ひくひくと疼いているそこは、欲しい欲しいと言っているようで。指を押しこめば素直に呑み込み、もっともっととせがむようにきゅうきゅうとなかがしまる。
「あぁっ……あぁん……」
「わりと簡単にはいるな。さすが、慣れてるだけあるね、会長様」
「ひゃあっ……んっ、あぁっ……!」
「感じすぎー。ほら、ここ? ごめんねー俺男抱いたことないからさ、よくわかんない」
「あぁッ……! そこっ……あぁ、だめっ……!」
「はっ、もう抵抗する気もねえってか、ド変態」
すうっと鑓水の瞳が細められる。快楽に浮かされてぽろぽろと涙をながすその波折の瞳を、鑓水はぺろりと舐め上げた。くちくちと後孔をいじくりまわし、その反応を面白がるように見つめ続ける。
「ねだってみ、慧太様お願いします、って。もっと気持ちよくしてくださいって言ってみろよ」
「あっ……けいた、さま……あぁっ……もっと……して、……くださ、い……あぁんっ……!」
「よし、いいぞー会長様。ほら、もっと俺にお願いしてみろよ。どうして欲しいか、言え」
「あぁあッ……!」
ごり、と鑓水が波折のなかの一点を強くこすり上げる。そうすれば波折は甲高い嬌声をあげて、身体を痙攣させた。「言え」と鑓水が強請りながらしつこくソコをごりごりと刺激すれば、波折は縛られた手で鑓水の胸元に縋り付き、請うように声を絞り出す。
「あっ……慧太、さま……いれて……いれてください……慧太様の、いれてください……!」
「何を?」
「は、ぁッ……ん、あぁっ……! 慧太様のおちんぽ、いれてください……!」
す、と鑓水の瞳孔が開く。そのまま、唇の端を釣り上げたその表情は……あくまの微笑みのよう。はーはーと息を吐いてくたりと脚を開いている波折は、悪魔に懇願するように潤んだ眼差しを鑓水にむける。
「……味わえよ、会長様!」
「あぁあッ……!」
ズン、と勢い良く鑓水のものが波折を突き上げた。鑓水は波折の身体を気遣う様子もなく、ガツガツと乱暴に腰を打ち付ける。安っぽいソファはギシギシと激しくきしんで、波折の身体を揺さぶった。しかしそんな雑な抽挿でも、波折は十分すぎるくらいに感じていた。止めどなくその唇から歓びの声をあげて、身体をくねらせる。
「会長様、どうだよ、俺のチンコは!」
「あぁっ、いいっ、いいっ……! 気持ちいいっ……!」
「あははっ、会長様が副会長の俺のチンコでよがってる! ウケる!」
鑓水が突き上げるたびに、波折のペニスからは蜜が飛び散った。ぴゅ、ぴゅ、と儚く飛ぶそれが、波折の腹を濡らしてゆく。
「はい、中に出すからねー! 会長様!」
「だして……なかに、いっぱい……!」
「俺の名前呼んでみ? 呼びながらイけよ」
「けいたっ……けいた、さまぁ……!」
どく、と鑓水が波折のなかに精を放つ。波折は顔を蕩けさせながら、結合部を凝視した。ひくひくとひくついている自らの腹は、まるで鑓水の精液を美味しく飲んでいるよう。自分のなかで鑓水のペニスが震える感覚に波折は甘い声をあげながら悶える。
「んー……」
「満足そう、会長様」
鑓水はペニスを引き抜いて、じろりと波折を見下ろす。幸福感に満ちたような表情をして波折は、はくはくと息をしていた。
「波折。これからおまえ、俺の性奴隷ね」
「せい、どれい……」
「返事は?」
「……はい……慧太様……」
ふん、と鑓水は嗤う。とんでもない状況に置かれながらも気持ちよさそうに絶頂の余韻に浸っている波折を侮蔑するように、鑓水は瞳を眇めた。そして、軽くキスをして、囁く。
「いい子だ、波折」
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