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***  水族館をでると、ちか、と太陽の光が刺さってきた。はっとして空を見上げれば、空の底が突き抜けたような青が広がっていた。朝のどんよりとしてた天気が嘘のよう。本館から門の側にあるバス停までは、少し距離がある。二人は太陽の光を堪能するようにのんびりと、そこまで向かっていった。 「そういえば、波折先輩、なんで雨が好きなんですか? やんじゃいましたけど……」 「音が好きかな。聞いていると落ち着くっていうか……」 「ああ、それはわかります! 室内で音を聞いているぶんには雨は好きかも」 「外にでるとやっぱり晴れのほうがいいかなって思うけどね」  地面の水たまりや、建物に付着する水滴が太陽の光を反射して眩しい。波折も眩しそうにしながら歩いていて、そんな様子も可愛らしかった。 「あ……波折先輩、あれ」 「え?」  ふと、沙良は空を見上げて見つけた。虹だ。青空に、虹が架かっている。 「虹とか久しぶりにみました! ね、先輩!」 「……うん」  波折は虹を見上げ、目を細める。さっと吹いた風が波折の前髪をさらさらと揺らしていた。

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