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「栗城さん」
ベッドに寝転がる裸の栗城の上に、波折が猫のように丸まっている。甘えるように、媚びるように、波折は栗城の胸に頬擦りをして、猫撫で声で栗城の名を呼んだ。
「俺、栗城さんとまたセックスしたいな」
「いくらでもしてあげるよ。お金いくら欲しいの?」
「……ううん。栗城さんのものになりたいの。栗城さんのペットになりたい」
波折の言葉に、栗城は息を呑む。行きずりでセックスをした少年にそんなことを言われて、誰が信じるだろうか……そう思うが、波折の異常なほどに人を惹きつけるその容姿で、そんな誘惑をされると案外みんなころりと騙されてしまうらしい。栗城もまたその例外ではなかった。
「ペット? 俺のそばにずっといる?」
「うん……いたい。栗城さん」
波折がとろんとした顔をして、栗城に口付けた。濃厚なキス。波折は鼻を抜けるような声を出しながら、栗城を舌を交わらせる。
「……でもね、あのね……お願いがあるんです……」
「なんだ? きいてあげる」
波折が微笑む。天使のような顔をして、その瞳は愚かな人間を誑かす、悪魔のようだった。
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