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「今日、さ。おまえ神藤の家いったら?」
生徒会が終わり、帰り際に鑓水が言う。それを聞いていた波折と沙良は少しびっくりしたように鑓水を見つめた。
「いいじゃん、たまには。ほら、後輩一人で帰らせて危険な目に合わせたくないし?」
波折がじっと鑓水を見つめる。沙良の家に行くことは全然構わないし楽しいからいいのだが、鑓水からそういったことを言うのが珍しくて、どうしても怪しいと思ってしまう。白々しい理由までつけてどうしたんだろう……もしかして、こんな俺と一緒にいるのがイヤ? 色々と考えはじめて顔が曇ってきた波折に、鑓水はからっとした笑顔を向ける。
「いや波折は俺のもんだからちゃんと最後には俺に返してもらうから」
じゃーね、と言って鑓水はそのまま踵を返して歩き出してしまった。
鑓水は、淺羽からテロの件を聞いて、もうすぐ波折は沙良と一緒にいられなくなるんじゃないかと、そう思っていた。だから波折に沙良との時間をあげたい、そう思った。
しかしそれを知らない波折は鑓水の行動を理解できずぽかんと立ち尽くすのみ。沙良も、鑓水の意図を汲み取ることはもちろんできない。ただまたなにか良くないことを考えているのかな、くらいにしか事情を知らない沙良には考えられず、「行きましょうか」と軽く波折に声をかける。波折は首をかしげながらも、流れに身を任せるように沙良の家に向かって歩き出した。
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