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第3話

彼の気持ちとは裏腹に、軽快な音が最上階に着いたことを知らせた。扉が開いても彼はうずくった状態で警戒している。 「ほら立って」 男は彼の二の腕を掴んで引き上げるが、当然彼は抵抗する。 「い、いやだ」 必死に強がり足を踏ん張る。睨みつけるがその目の奥が怯えるように震えている。赦しを懇願する選択肢は初めからないのか、彼は常に強気だ。 それが男を喜ばせていることなど知りもせず。 睨むその目を無表情で見つめ返す男は掴んだ手に更に力を入れる。 立つ気がないのならそのまま引き摺っていこう。 グイッと力尽くに引き寄せれば、彼はまるで子供のように簡単にバランスを崩し、アスファルトの上を引き摺られた。 「い、痛いっ!やめろ!離せ!誰か助けてくれ!」 何度か体勢を立て直そうと試みたがタイミングが合わず、結局彼はそのまま男の家へと連れ込まれてしまった。 玄関ドアが閉まるのと同時に体を放り投げられ無様に廊下へ倒れ込んだ。 「あんなに大きな声出したら近所迷惑だよ」 ガチャリと鍵の閉まる音に、彼はまた体を強ばらせた。 「不自由な思いをしたくないなら少し考えてから行動してね」 腕を捻り上げるように持ち上げて倒れた彼を起こせば、捻れる痛みに彼の表情が険しくなる。 「返事は?」 「う、ッ───」 更に強く捻られ関節が外れてしまうんじゃないかと思ったが、彼は唇を噛んで声を殺す。 「・・・ま、いいや」 暫く返事を待っていた男だったがそれ以上は求めず、立つように促しリビングへ連れて行った。

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