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第4話

彼の後について男もリビングに入り、ソファーに座るように言った。 「ちょっと待ってて」 対面キッチンに入っていった男はグラスを二つ取り出して飲み物を注いでいるようだ。彼はその様子をジッと見つめ、拳を握りしめている。 「お茶しかなくて」 氷の浮かぶ緑の液体を目の前に差し出されたが、彼は手を出さない。 「喉渇かない?」 グラスを揺らせば氷の涼しげな音に誘われて喉の渇きを覚えたがグッと堪える。 何か入っていたら堪ったもんじゃない。 警戒心から目つきも鋭くなる。 そんな彼の前で男は見せつけるように喉を鳴らして勢いよく飲み干していく。 その姿に彼の喉仏が上下に動いた。 「何も入ってないから安心して。受け取らないなら今すぐ犯す」 コイツの言葉なんか信用できるか。 絶対受け取ってやるものか。 そう決心していた彼だったが、次の言葉にビクリと肩を揺らして慌ててグラスを受け取り口に付けるとガブガブと飲み出した。 男はその様子を見て彼の隣にゆっくり腰を下ろす。 急に距離を縮められて動揺したのか、彼は派手にお茶をこぼしてしまい、着ているワイシャツとスラックスを濡らしてしまった。 「あーあ、大丈夫?」 「ッ!触るなっ!」 濡れたワイシャツに男の掌がべったり吸い付く。 その感触に、悪寒が走った彼は男の手を払おうとしたが逆にその手を掴まれてしまい、容易くソファーに押し倒されてしまった。 「嫌だっ!やめろっ!変態野郎!」 顔を真っ赤にして怒鳴り散らす彼は息を切らしている。 「俺がさっき注意したこともう忘れた?」 胸に貼り付けていた手を彼の締めているネクタイの結び目にかけると左右に大きく揺らしてから、勢いよく抜き去った。 「躾けるのは嫌いじゃないよ」 体を翻して慌てて逃げようとソファーの上を這ったが後頭部を真上から押さえつけられ、彼の顔は弾力のあるソファーに埋まってしまった。

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