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第6話
「はい、すみません。それでは失礼しま──」
「うまく誤魔化せたね」
会話途中の彼のスマホを奪い取った男は勝手に通話と電源を切ると、掌を滑らせて床にスマホを落とした。
人の物を勝手に、しかも乱暴に扱うなんて。
苛立ちながら落ちたスマホを拾おうと、彼が手を伸ばすより先にミシッと鈍い音がした。
「え・・」
彼の目に映るのは、裏返しになっているスマホを男が踏みつけている光景だ。
「ちょっ!何してんだ!」
彼は慌てて床に膝を突いて下地になっているスマホを救出しようと格闘するが、男は一向に退けようとしない。
「もういい加減にしろ!」
恐怖が勝っていた彼だったが、怒りが覆い尽くし激高した。男の胸ぐらを掴み怒鳴り散らしたが、男は表情一つ変えず彼を見つめた。
「警察にいってやる」
男の胸ぐらを押し返して部屋の入口へ大股で歩いてドアノブに手を掛けたときだ。
ドンッ!
大きな音と、一瞬意識を飛ばしたような感覚に彼の目が回る。
すぐに追いかけてきた男に思い切り頭をドアに打ち付けられたからだ。
「馬鹿なのか、それともわざと怒らせて酷くされたいのか。ねえ、どっち?」
「あああああ!!!」
ドアノブにかかっていた手を掴まれると背中に回され、それ以上曲がらないと言うところまで手首を引き上げられる。感じたことのない痛みに彼は悲鳴を上げた。
「いい声・・勃起しそう」
耳元で囁かれ、尻に押しつけられた男の股間は少し膨らんでいた。
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