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第8話
そんなのは絶対に嫌だ。
男の言葉を否定するように彼は頭を左右に振った。
「大丈夫。初めから舌には開けないから。最初はどこがいいかな・・」
男が彼の耳朶を舌で掬うと、そこに歯を立て徐々に力を入れていく。
「い、たっい」
「楽しみにしてて」
「ひっ」
今度は傷を慰めるように歯形の付いた耳朶をねっとり舐める。首を竦めて行為が終わるのを待つ彼の体が不意に浮いた。
張り付いていたドアから体が浮くと、背中に折ってある彼の腕を引き寄せた男が彼をベッドの前まで誘導した。
「男と寝たことは?」
彼はゆっくり左右に首を振る。
「じゃあ処女だ。嬉しいな」
明るい声と一緒に背中を押され、彼は前からベッドに倒れ込み、尻だけを高く上げる体勢にさせられた。
すぐ腹側に男の手が回ってきてベルトを外しはじめた。片手で器用に外しファスナーを降ろす。今度はその手を腰に回し、弛んだスラックスを掴み、勢いよくずり降ろした。
「やめっ!」
尻が丸見えになり、羞恥心に彼の顔が熱くなる。
「はあ・・綺麗だよ」
男はようやく彼の腕を解放したかと思えば、尻朶を鷲摑み左右に開いた。男に後孔を見られ、空気に触れたそこがヒクリと蠢く。
「はやくここに挿りたい・・」
「何するん───」
暫く眺めた後、吐息を漏らした男は尻朶に顔を埋め、後孔を舐めだした。
「や、やだっ!やめろっ!き、気持ち悪いっ!」
あんな所を舐めるなんてありえない。
あんな・・あんな汚い所を。
後孔にべったり舌が張り付いては尾てい骨を舐め上げられる。舌にある突起が肌にひっかかる感触がどこを舐めているのかを主張しているようだ。
パニックになった彼が体を起こそうとすると、声にならない痛みが走り、その体はぐったりベッドに倒れ込んだ。
「動いたらダメだよ」
男は叱るように彼の睾丸を握り潰していた。
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